一般社団法人日本学校保健学会第67回学術大会

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保健教育2(OP-0605~0609)

植田誠治(聖心女子大学)

[OP-0605] 「高等学校におけるがん教育」に対する保護者の意識とがん予防行動に関する調査

澤山美佐緒 (大阪教育大学大学院 教育学研究科 健康科学専攻)

【目的】我が国の死因第一位であるがんは二人に一人が罹患する国の重要な健康課題である.このような背景から令和2年度より新学習指導要領に基づくがん教育が展開されている.本研究では,高等学校に在籍する生徒の保護者を対象に「がん教育の意識」や「がん予防行動」を調査した.
【方法】令和2年にA公立高等学校1年生の保護者370名に保護者自身の胃がん検診やピロリ菌検査の受検経験,高校生ピロリ菌検査事業への参加希望,がん教育の認知と賛否,教えて欲しい内容等を無記名自記式アンケート用紙により調査した.アンケートは回収率97.6%,有効回答率96.9%であり,χ2検定による分析を行った.
【結果】対象者の属性は母親91.1%,父親8.6%,その他0.3%で,胃がん検診受検率は父親83.3%,母親55.7%,ピロリ菌検査受検率は父親65.5%,母親41%で共に母親の受検率が有意に低かった(p<0.01).また「胃がん検診を受けたことがある」人は「受けたことがない」人に比べて「ピロリ菌が胃がんの原因になると知っている」が有意に高いことが認められた(p<0.01).学校でのがん教育の認知は「知らない」が87.1%,実施については「賛成」が93.2%,子どものピロリ菌検査には「受けさせたい」が89.5%,「高1生にピロリ菌検査は必要」が92.1%だった.教えて欲しいがん教育の内容は,「がんの予防」「がんの要因」が7割以上,「がんの治療」「がん患者への理解」は4割程度だった.