一般社団法人日本学校保健学会第67回学術大会

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保健教育2(OP-0605~0609)

植田誠治(聖心女子大学)

[OP-0608] 学校―医療者連携によるいのちの授業

内田敬子, 徳村光昭, 山岸あや (慶應義塾大学 保健管理センター)

【背景】現代の子どもにかかる精神的ストレスは増大している.近年子どもの自殺者数は急増し,深刻ないじめも生じている.教育現場では新学習指導要領の下,答えが一つでない課題に子どもたちが自ら向き合い,考え,議論する道徳教育への転換や,学校外とも連携した社会に開かれた教育課程の実現が求められている.今回,日本小児循環器学会主催の教育事業のメンバーであり学校医を務める小児循環器専門医が窓口となり学校と医療者が連携して「いのちの授業」を実施したので報告する.【方法】2019年と2021年に,東京都内の私立小学校6年生を対象に学校と小児循環器専門医が連携して「いのちの授業」を実施した.第1回は,医師が脳死下臓器提供をテーマに講演形式で実施した.第2回は,体育教員による一次救命処置の実技実習に合わせて,医師が各処置に関連した講義を行い,さらに重症心疾患で亡くなった小学生が詠んだ詩を教材に命の大切さを自ら考え討論する時間を設けた.どちらも授業後に感想文の提出を求めた.【結果・考察】第1回は小学生には難解なテーマにもかかわらず様々な立場で脳死下臓器提供・臓器移植を考える機会となっていた.第2回は授業がより生きた実技実習に繋がった.また,同年代の子の詩は深く子どもたちの心に響き,普段意識しない「生」や「死」を自分事として捉えたことが伺えた.【結語】学校と医療者が連携した「いのちの授業」は新学習指導要領に基づく子どもの生きる力を育む教育に繋がる可能性がある.