一般社団法人日本学校保健学会第67回学術大会

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養護教諭,保健室1(OP-0801~0805)

郷木義子(新見公立大学)

[OP-0803] ヒヤリ・ハットの要因分析から見る養護教諭の資質力量に関する調査研究

岡本陽子1, 大野泰子1, 吉田順子1 (1.広島文化学園大学看護学部看護学研究科, 2.広島文化学園大学看護学部看護学科, 3.藍野大学看護学部看護学科)

【目的】養護教諭が経験したヒヤリ・ハット事例の要因を分析し,養護教諭に求められる危機管理上の資質・力量の課題を明らかにする.【方法】経験5年の護教諭61名のヒヤリ・ハット事例調査から,ヒヤリ・ハット事例の要因について,養護教諭に求められる資質力量とする「責任感」「使命感」及び「救急時の処置能力」「連携力」等を養護教諭自身や校長等の管理職の「評価」から分析.分析はSPSS Ver.25を用い,t検定 χ2検定を行った.【倫理的配慮】データは統計的に処理され,事前に藍野大学倫理員会の了承を受けた.【結果】1. 基本属性:養護教諭61名全員が「ヒヤリ・ハット」の経験者であった.2.評価からみる対応の資質や力量:ヒヤリ・ハット事例の処置対応を管理職の養護教諭への評価が「よかった」と「よく思われなかった」との視点から比較分析をした.差がみられたのは,資質では「養護教諭の見間違いがある」(p<0.001),「考え違い」(p<0. 05)で,力量では「身体機能の変化をみる」「血圧を診る」(p<0.001),「アセスメントをする」 (p<0.01),「自己流の手当をする」(p<0. 05)であった.【考察】ヒヤリ・ハット事例対応では,「問診」「意識の確認」は実施されていたが,「脈を診る」「連携」等の力量行為は実施されていなかった.また,資質能力となる「見間違い」や「見通しの甘さ」がみられた.今後は,養護教諭の基盤となる資質力量の研修の必要性が示唆された.