一般社団法人日本学校保健学会第67回学術大会

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養護教諭,保健室2(OP-0806~0809)

上村弘子(岡山大学)

[OP-0807] 小学校に勤務する養護教諭のリーダーシップ行動の自己評価と連携・協働の対象である同僚教諭による評価との比較

後藤多知子1, 笠巻純一2 (1.愛知みずほ大学 人間科学部 心身健康科学科, 2.新潟大学 人文社会科学系)

【目的】近年,学校保健活動に関して,養護教諭の「組織マネジメント」とともに「リーダーシップ」の役割が注目されている.学校現場では他者評価を随時及び複数回得ることが難しく, 養護教諭は自己評価をベースとして活動をしている.そこで本研究は,養護教諭自身のリーダーシップ行動評価と同僚教諭による評価との関連を分析し,組織的・効果的な養護実践の一助とすることを目的とした.【方法】質問紙郵送法によりランダムに抽出した全国500校のうち協力を得た170 校の分析をした. 回答者は養護教諭168名, 同僚教諭293名である. 養護教諭のリーダーシップ行動の自己評価と同僚教諭による評価を学校毎に比較し,統計解析により全体の傾向を把握した.【結果】因子分析の結果,自己評価は3つの下位尺度で構成されていた.「職務アピール行動」の尺度得点は,同僚教諭の評価の同尺度得点と有意な相関を示し,自己評価から同僚教諭の評価の傾向を推測ができる可能性が示唆された.一方,「意見交流行動」や「人間関係維持行動」の尺度得点は,「職務アピール行動」に比べて両者の相関が低かった.「職務アピール行動」のような同僚教諭が見聞きしやすい養護教諭の行動は共通認識を持ちやすいが, 養護教諭の心情や姿勢・態度は, 同僚教諭から共通認識を持たれにくいことが示唆された.【結論】養護教諭のリーダーシップ行動の自己評価と同僚教諭の評価との関連性は,そのカテゴリーによって,異なることが示された.