一般社団法人日本学校保健学会第67回学術大会

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養護教諭,保健室3(OP-0810~0814)

荒川雅子(東京学芸大学)

[OP-0810] 子どもの愛着障害の克服における養護教諭の役割

菊地むつみ1, 三森寧子2 (1.市川市立行徳小学校, 2.千葉大学教育学部)

【背景・目的】近年,愛着障害は虐待や発達障害との関連などから注目され,その理解と支援の重要性が指摘されている.本研究は,愛着障害の子どもを理解するために,愛着障害の子どもの特徴や必要な支援について明らかにすることを目的として行った.【方法】養護教諭2名,小学校教諭1名の計3名を対象に半構成的面接法にてインタビューを行った.研究の概要,倫理的配慮について十分な説明の上,同意を得て実施した.調査期間は2020年7月から8月であった.【結果】これまで対象者が関わった愛着障害が疑われる子どもの特徴や支援についてインタビューを行った.その結果,愛着障害が疑われる子どもの特徴は【周囲の期待に応えようといい子を演じる】【子どもとして受けるべき愛情をかけて育てられていない】【日常生活の中で自分の行動や感情に不安定さがある】【自分や他者に対して厳しいところがある】【安心できる居場所がない】など6カテゴリーが抽出できた.支援は【子どもに十分な愛情をもって可愛がる】【子どもが安心・安全を感じられるような居場所をつくる】【ただ甘えさせるのではなく,子どもの成長に必要な関わりをする】【複数の関係者や関係機関と連携のもとに支援を行う】【組織で養育者に対して支援を行う】など7カテゴリーが抽出された.【考察】愛着障害が疑われる子どもの実際から,教育者としての信念と愛情をもって,子どもにとって安心感のある環境づくりや組織で対応する必要性が示唆された.