The 67th Annual Meeting of the Japanese Association of School Health

Presentation information

一般演題

オンデマンドプログラム » 一般演題

発育,発達(OP-1201~1206)

黒川修行(宮城教育大学)

[OP-1201] 小学1年時に肥満及び標準体重であった児童の9年間の体格変動

小宮秀明1,2, 黒川修行3 (1.宇都宮大学 共同教育学部, 2.獨協医科大学公衆衛生学講座, 3.宮城教育大学教育学部)

【目的】成人における肥満の多くは小児期に始まり,思春期や成人期以降も肥満を継続するトラッキング現象が報告されている.このことに着目し,これまで小児肥満を対象としたトラッキング現象について縦断的な調査を行ってきた.今回は小学1年時に標準体重を示す児に焦点をあて中学3年までの9年間にわたり追跡を行い,成長の過程で見られる体重の変化について分析を行った.【方法】対象は市内の小学校68校,中学校25校の児童生徒であり,平成21年度から9年間に渡り全ての項目に欠損のない2,816名(男子1,425名,女子1,391名)を対象とした.【結果】小学1年時に標準体重(男子1,344名,女子1,299名)であり,中学3年で肥満を示した者は男子で4.9%,女子では4.3%であった.一方,肥満であった児童の中で中学3年時に標準体重へ改善が見られた者は男子で39.0%,女子では34.9%であった.小学1年時に標準体重,肥満のいずれにおいても8年間で肥満度に大きな変動が見られた.小学1年次に標準体重及び肥満を示した児とも小学6年から中学1年にかけ,体重に大きな変化がみられた.【結論】標準体重児と比べ肥満児は,小学校の6年間は男女とも1年間の体重増加量が顕著に高いことが観察された.さらに,小学1年時に肥満度が高い児童ほど中学3年時に肥満を継続する可能性が高く,肥満度が高いほど肥満を改善することが困難であることが示唆された.肥満の予防の観点より,小学1年時に標準体重児であることが極めて重要であることが示唆された.