一般社団法人日本学校保健学会第67回学術大会

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発育,発達(OP-1201~1206)

黒川修行(宮城教育大学)

[OP-1206] 男女大学生におけるやせ体型への願望と社会的圧力との関係

中村晴信1, 金子夏実2, 吉岡拓真1, 間瀬知紀3, 桃井克将4, 甲田勝康5, 藤田裕規6, 小原久未子6 (1.神戸大学大学院 人間発達環境学研究科, 2.神戸大学 国際人間科学部 発達コミュニティ学科, 3.京都女子大学 発達教育学部 児童学科, 4.徳島文理大学 保健福祉学部 人間福祉学科, 5.関西医科大学 医学部 衛生・公衆衛生学講座, 6.近畿大学 医学部 公衆衛生学教室)

【目的】近年,若年女性にやせ願望があることが報告され,強いやせ願望は摂食障害を誘発することから,不適切なやせ願望は留意する必要がある.また,やせ願望には自らの体格や周囲からの圧力が関係することが報告されているが,今回は男女間における特徴について検討した.
【方法】関西圏を主とする大学の学生270名(男子104名,女子166名)を対象とし,無記名の質問紙を用いた横断調査を2020年に行った.質問項目は身長,体重,現在と理想の体型,抑制的摂食,社会的圧力(家族,仲間,メディア),減量に関する意思決定バランス(利得や損失)である.尚,身長と体重からbody mass index(BMI)を算出した.
【結果】男女間において,身長,体重,BMIは,男性が有意に大きく,やせ体型への願望や,抑制的摂食,家族やメディアからの社会的圧力は女性に大きく,減量に関する利益や損失も女性に大きかった.これらの変数について男女別に相関関係をみると,男女ともに,やせ体型への願望が大きいほど,BMIが大きく,抑制的摂食も大きく,減量による利得が大きいと考えていた.一方,社会的圧力については,女性では,家族,仲間,メディアのいずれの社会的圧力もそれらが大きいほど,やせ体型への願望が大きかったが,男性では,家族からの社会的圧力のみ,やせ体型への願望と正の相関がみられた.
【結論】このことより,男性は家族内からにとどまるのに対して,女性はある方向から減量に関する社会的圧力を受けている状況が示唆された.