一般社団法人日本学校保健学会第67回学術大会

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ヘルスプロモーション2(OP-1305~1308)

三好美浩(岐阜大学)

[OP-1305] 格差指標からみた沖縄県の小学生における歯科保健の実態

永山愛1, 我部杏奈2, 宮城政也3, 喜屋武享4, 高倉実5 (1.琉球大学大学院 保健学研究科, 2.琉球大学 教育学部 附属小学校, 3.琉球大学 教育学部 学校教育教員養成課程, 4.神戸大学大学院 人間発達環境学研究科, 5.琉球大学 医学部 保健学科)

【背景】齲蝕は児童において最も有病割合が高い疾患である.その出現には社会経済状況(Socio-economic status: SES)による格差が存在する.健康格差の検討には,絶対指標と相対指標の両方での評価に加え,比較可能性の点でより洗練された指標を用いることが望ましい.そこで,本研究は,児童の歯科保健格差について,複数の格差指標を用いて検討することを目的とした.
【方法】2018年に,沖縄県の2教育事務所管内にある公立小学校のうち,協力の得られた43校において自記式無記名の質問紙調査を実施した.対象は,保護者の同意が得られた5学年に在籍する児童1248名である.アウトカム評価には,齲蝕経験歯数(DMF歯数)および歯みがき頻度を用いた.SESは,就学援助認定状況,家族構成,家庭裕福度によって測定した.絶対指標としてSES高低群間のPrevalence DifferenceおよびSlope Index of Inequality,相対指標としてPrevalence RatioおよびRelative Index of Inequalityを算出した.
【結果】就学援助認定状況,家族構成,家庭裕福度において,齲蝕の絶対的・相対的格差がみられ,SES高群はSES低群に比べ,齲蝕経験が少なかった.家族構成においてのみ,歯みがき頻度の絶対的・相対的格差がみられ,両親同居群はその他群に比べ,歯みがき頻度が高かった.
【結論】児童の歯科保健にはSESによる健康格差が存在することが示された.歯科保健における社会経済格差是正の取組は,特に,家族構成サブグループに焦点を当てるべきである.