一般社団法人日本学校保健学会第67回学術大会

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国際学校保健(OP-1501~1504)

照屋博行(福岡教育大学・九州共立大学名誉教授)

[OP-1502] インドネシアの中高等学校での包括的性教育の実施における教師の葛藤;テーマ分析による質的研究

渋谷文子1, Puspita SariDian2, WarnainiCut2, Windri RivartiArina2, 野中大輔1, 竹内理恵1, KadriyanHamsu2, 小林潤1 (1.琉球大学大学院 保健学研究科 国際地域保健学分野, 2.インドネシア マタラム大学 医学部)

【背景】UNESCOは包括的性教育(Comprehensive Sexuality Education:CSE)を提唱し,適切な意思決定や性行動の選択を支援するために,人権の保護や性/リプロダクティブ・ヘルスに関する教育を推奨している.一部の国や地域では,性に関する指導は宗教や文化的背景によりタブーと認識されることがある.本研究は,インドネシア・マタラム市の公立中高等学校におけるCSE実施時の教師の葛藤のプロセスを明らかにすることを目的とする.【方法】対象はインドネシア・マタラム市の中高等学校全11校である.教師を対象としたフォーカス・グループ・ディスカッションと学校長を対象とした深層インタビューをオンラインにて実施した.本研究は進行中であり,現時点で1校の分析が終了し,残り10校はインタビュー後に分析する.分析は焦点エスノグラフィー手法に基づきテーマ分析を用いて実施した.【結果】テーマ分析により,46のコードと9つのカテゴリー,以下の3つのテーマが生成された.1)多様性のある背景との関連,2)生徒の性行動を改善する必要性,3)CSEを義務として指導することの重要性.複数の教師は正式なガイドラインを有することにより,容易に指導できる可能性があると言及した.【結論】多様性のある背景を考慮したガイドラインの普及を検討することにより,教師間で統一した指導を実施できると思われる.さらに,CSEを義務として実施することが,タブーと認識されている性に関する内容をより円滑に指導するために有用であると考えられる.