一般社団法人日本学校保健学会第67回学術大会

講演情報

一般演題

オンデマンドプログラム » 一般演題

国際学校保健(OP-1501~1504)

照屋博行(福岡教育大学・九州共立大学名誉教授)

[OP-1504] 中位カースト(ネパール)のベジタリアンとノンベジタリアンの子どもの発育

中西純 (中京大学スポーツ科学部スポーツ健康科学科)

【目的】ネパール連邦民主共和国(以下ネパール)の2015年憲法第18条では人種,宗教,カースト,部族,地域及び他の根拠に基づく差別を禁じている.しかし未だにカーストは社会的制度として残存し,特に菜食主義者(以下ベジタリアン)が今なお肉類の摂取を制限している.また,国民の約8割がヒンドゥー教信者であり,信仰による浄・不浄の観念や食事の可食・不可食の基準がある.これらの食習慣で生育する子ども達の発育状況を明らかにすることを目的とした.
【方法】調査は2014年~2018年8月,12月,2019年8月,2020年2月に実施し,身長,体重,周径 5点,皮下脂肪厚5点,肩峰幅,腸骨稜幅を計測した.調査対象者は中位カーストでベジタリアンの(男子304人,女子272人),中位カーストでノンベジタリアンの(男子421人,女子285人)であった.年齢は男女とも5歳~14歳であった.調査地はタライ平原のナラヤニ県ラウタハト郡,ジャナクプル県マホッタリ郡であった. 統計処理はエクセル統計 3.21 ( Bellcurve for Excel) を使用し,ベジ-ノンベジ間の比較及び年齢ごとの比較はT検定(対応なし)を実施した.欠損値は全て対象から除外し,有意水準は 5 %とした.
【結果】ベジ-ノンベジ間の比較では男子はノンベジがベジと比して有意に身長は高く体重は重く周径5点は大きく皮下脂肪厚5点は厚く肩峰幅,腸骨稜幅は広かった.女子はノンベジがベジと比して周径の胴囲以外は男子と同様の結果となった.