The 67th Annual Meeting of the Japanese Association of School Health

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シンポジウム5
次世代につなげる歯科保健教育

コーディネーター:森田一三(日本赤十字豊田看護大学)

[SY5-4] 花まるチェックシート(自己点検票)を活用した歯科指導

杉浦文子 (西尾市立鶴城小学校養護教諭)

Keywords:生活習慣 花まるチェックシート 歯と口の健康

はじめに
 本小学校の健康課題として,高学年になるについて,歯肉炎や歯垢が悪化する傾向にあった.原因は,不規則な生活・充分な歯みがきができていない・よく噛まずに食べられる料理が多くなったことなどが考えられた.そこで,生活習慣に目を向けることで,歯や口の健康づくりができるようになるのではないかと考え,西尾市で考案された花まるチェックシート(自己点検票)を活用し,児童が歯や口の健康によい生活習慣について考える取り組みをおこなった.

個別ファイルを活用してのチェック
 定期的に「花まるチェックシート」を実施し,歯や口の健康によい生活習慣を身に着けさせるために,個別のファイルを作成することとした.このファイルには,花まるチェックシートだけでなく,歯科検診の結果・授業でのワークシートもファイリングし,変容が分かるように工夫した.
 「花まるチェックシート」については,まず,生活習慣改善のためのチェックを行い,個別にめあてを決定し実践をした.その後,生活習慣が改善されたか再度のチェックを行った.これらを不定期に実施し,生活習慣の見直しをするとともに,その確立を図ってきた.チェック後の実践においては,養護教諭が個別にアドバイスを書き加え,それぞれが自分に合った実践ができるように配慮した.この花まるチェックシートを実施することで,現状を把握することと生活習慣改善のめあてを決めることができた.また,アドバイスにより,自分に足りない生活習慣を改善するための実践をすることができ,より良い生活習慣を送ろうとする意識の向上がみられた.

花まるチェックシートと歯や口の健康との関連についての理解(授業実践)
 チェックシートの生活習慣がどのように歯や口の健康に関連しているか,児童に考えさせ,話し合いを行った.この授業で,「起床・就寝の時刻も歯の健康にかかわっているから気をつけたい」という意見が出て,生活習慣が歯や口の健康に大切なものだと理解ができ,関心・意識が高まった.

手作り紙芝居「いっちゃんの1日」を使っての生活習慣の振り返り(授業実践)
 手作り紙芝居を使って,歯によい生活習慣・よくない生活習慣を考えさせ,改善する方法について話し合いを行った.
また,自分の生活に置き換え,何をどうすればよいかを考えさせた.児童は知識としてどのような生活習慣が,歯や口の健康によいかは十分に理解できているが,いざ実践となるとできないこともわかった.また,生活習慣をよくするために,保護者に協力をお願いする姿も見られた.

保健所歯科衛生士による講義
 「むし歯になりにくい砂糖の摂取方法および,唾液の大切さについて」の講義を保健所の歯科衛生士により行った.講義は,自分自身で仮説を立てて,その理由について話し合いをする中で,結論を導き出すといった内容で,どの児童も積極的に参加していた.今後も歯と口の健康に関する講義を受けることで,生活習慣の改善に活用していきたい.

まとめ
 2年間の実践後,アンケート調査を実施したところ,「歯の健康に関心がもてるようになってきた.」「歯や口の健康によい生活習慣を今後も送っていきたい.」と答える児童が多く,意識の変容が見られるようになった.また,歯科検診結果でも,歯肉や歯垢の状態が改善された児童が多く,西尾市で行っている「よい歯の子」の表彰対象児童数が他の学年に比べて多く,表彰を受けることができている.よって花まるチェックシートは,歯や口の健康に良い生活習慣を身に着けさせるためには,良い手立てであることが確認できた.