The 68th Annual Meeting of the Japanese Association of School Health

Presentation information

一般演題(口演)

オンデマンドプログラム » 一般演題(口演)

O-67~O-71 国際学校保健

座長:面澤 和子(弘前大学(名誉教授))

[O-68] 包括的性教育にまつわる政策とその実践の現状と課題に関する7か国比較研究

小笠原 理恵1,2, Harel Sinai2, Mawer Kim2, Enkhtur Oyundelger2,3, Liu Liu2, 杉田 映理2, 大谷 順子2, 友川 幸4, 渋谷 文子5, 山本 ベバリーアン2 (1.大阪大学大学院 医学系研究科, 2.大阪大学大学院 人間科学研究科, 3.モンゴル国立大学, 4.信州大学 教育学部, 5.琉球大学大学院 保健学研究科)

Keywords:包括的性教育(CSE)、ユネスコガイダンス、比較研究

【背景】ユネスコは2018年に『国際セクシュアリティ教育ガイダンス(以下、ガイダンス)』を改訂し、包括的性教育(Comprehensive Sexuality Education: CSE)の枠組みとして、年齢に応じたキーコンセプト、トピック、学習目標等を示したが、国レベルの政策にどの程度反映されているか、および実践の現状と課題などは十分にわかっていない。
【目的】日本、中国、インドネシア、ラオス、ネパール、フィリピン、英国を対象に、ガイダンスが示す枠組みの各国の政策や指導要領への反映状況とその実践の現状と課題を明らかにすることを目的とした。
【方法】政策文書や学習指導要領等の分析と各国の当該領域の研究者を対象としたオンラインインタビューを行った。
【結果】中国、ネパール、ラオス、フィリピンでは、ガイダンスの枠組みの政策への反映が急速に進められていたが、教育カリキュラムの構成が断片的であり学校での実践は初期段階に留まっていた。英国では地域によって包括性の高い「人間関係と性教育」の授業が義務化されていた。日本とインドネシアでは、CSEの枠組みが教育政策等に反映されていなかった。各国の実践には、文化的・社会的軋轢の影響が根強く残っていた。
【結論】CSEに関わる政策策定やその実践が急速に進行し、その重要性への認識が高まっていることが示唆された一方で、CSEを政策に反映している国においても、政策と実践には隔たりが見られ、包括的な教育カリキュラムの構成等が課題であった。