[O-11] 多様な性への当事者意識を高める保健授業の実践と評価―中学2年生を対象に―
Keywords:当事者性、保健授業、中学校
【目的】多様な性への当事者意識を高める保健授業を実践し、評価することを目的とした。【方法】2022年5月に公立I中学校の2年生6クラス201名を対象に、3クラス101名には、多様な性を含む4つの健康問題を取り上げた授業実践を行い(以下、授業実施群)、授業の事前・事後に知識及び意識の調査を行った。3クラス100名は、授業を実施する前(以下、授業未実施群)に、授業実施群と同じ時期に2回、知識と意識の調査を行った。調査は、健康問題に関する知識(4項目)、意識として、健康問題への配慮(4項目)、健康問題への当事者性(4項目)、授業への意識(3項目)、共感性尺度(6項目)の計21項目とした。【結果】授業実施群では、健康問題に関する知識のすべての項目において、正答率が有意に高くなっていた。しかし、健康問題への配慮と健康問題への当事者性の項目では、体の健康問題に関しては有意に高くなっていたが、多様な性を含む心の健康問題に関しては変化が見られなかった。また、共感性尺度についても変化が見られなかった。一方、授業未実施群では、健康問題に関する知識、健康問題への配慮、健康問題への当事者性、授業への意識、共感性尺度のすべての項目において変化は見られなかった。【結語】授業実施群では、知識と体の健康問題への意識については効果が見られたが、多様な性を含む心の健康問題への意識については効果が見られず、課題が残された。