The 68th Annual Meeting of the Japanese Association of School Health

Presentation information

一般演題(口演)

オンデマンドプログラム » 一般演題(口演)

O-11~O-14 性、ジェンダー2

座長:笠井 直美(新潟大学)

[O-13] 特別支援学校高等部に通う知的障害がある生徒の恋愛学習に関する予備的研究―生徒へのアンケート及び聞き取り調査を通じて―

鶴岡 尚子1, 西井 崇之2 (1.和歌山大学教育学部 附属特別支援学校, 2.東京医療保健大学 和歌山看護学部 看護学科)

Keywords:知的障害、特別支援学校、恋愛

【目的】知的障害特別支援学校高等部に通う生徒の「恋愛」に関する学習プログラムを開発するために、生徒の「恋愛」への思いや困難感、課題等に関する資料を得ることを目的とした。【方法】対象者は、A特別支援学校高等部に通う生徒8名(男性5名女性3名)とした。調査は、2021年9月から22年4月にかけて自記式アンケート結果及びインタビュー記録を用いて蓄積された性に関する知識、恋愛や将来への思い、ジェンダー観等の4項目について、質的記述的分析を行った。倫理的配慮として、入学時に包括的同意を得ているとともに、本人及び保護者より口頭にて同意を得ている。【結果】性に関する知識では、生殖器に関する生理学的知識が少ない一方、性交の知識には個人差があった。恋愛や将来への思いでは、7名が「恋愛をすることが難しい」と回答し、友達同士で恋愛や性の話をすることはほとんどなく、恋愛経験があったのは2名であった。結婚、子育てに関して、男性は5名中3名が結婚や子育てを希望しており、女性3名を含む5名は、「赤ちゃんを落としそうで怖い」等の子育ての不安や困難さを感じていた。ジェンダー観の形成では、男女の差はなく、テレビ番組、アダルト動画などのメディアの影響を受けていることが推測される内容であった。【結論】生殖器や性交等の知識、及び恋愛、結婚、子育て等のプロセスに沿った支援の必要性、並びにジェンダー観にはメディアの影響が推察されたことから、対等な恋愛関係を築くための支援の必要性が示唆された。