[O-57] 中学生の伸張-短縮サイクル動作遂行能力と運動有能感との関係
Keywords:瞬発力、体育実技、子ども
【目的】伸張-短縮サイクル(stretch-shortening cycle)動作遂行能力(SSC能力)とは連続したジャンプ等の運動時に発揮され、その高低は様々な身体運動のパフォーマンスを左右する。他方、運動有能感とは運動実施時の自信のことで、それを表す指標と運動への興味・関心等との関連が示されている。仮に高いSSC能力が運動有能感の醸成につながる可能性があれば、特に中学生年代などにおいてSSC能力を身に付けることが、体育やスポーツ活動を積極的に行うことの動機付けになると考えられる。そこで本研究では、中学生を対象に、SSC能力と運動有能感との関係を明らかにすることを目的とした。【方法】対象は、和歌山県下の某中学校の生徒161名とした。SSC能力の評価には、連続ジャンプ中の跳躍高を接地時間で除した値であるリバウンドジャンプ指数(RJ指数)と垂直跳を用いた。運動有能感については、運動有能感測定尺度(60点満点)(岡澤ら, 1996)を使用し、その程度を評価した。【結果】RJ指数(r=.43)と運動有能感得点の間には中程度の、また垂直跳(r=.29)との間には弱い相関関係が認められた(p<.01)。運動有能感の下位項目である「身体的有能さの認知」ではRJ指数(r=.45)と垂直跳(r=.42)、「統制感」ではRJ指数(r=.29)、「受容感」ではRJ指数(r=.29)で、それぞれ相関関係が認められた(p<.01)。一方、握力では、運動有能感に関連するどの項目との間にも関係性が認められなかった。【結論】SSC能力の高い中学生は、運動有能感を有しやすい可能性が示唆された。