The 68th Annual Meeting of the Japanese Association of School Health

Presentation information

市民公開講座

オンデマンドプログラム » 市民公開講座

毎日しっかり眠って成績を伸ばす 合格睡眠 成績だけじゃない! 人生が変わります!

座長:森岡 郁晴(和歌山県立医科大学)

[OL1] 毎日しっかり眠って成績を伸ばす 合格睡眠 成績だけじゃない! 人生が変わります!

福田 一彦 (江戸川大学)

Keywords:睡眠覚醒リズム、頭の働き、心身の健康

はじめに
日本人の睡眠時間は世界で最も短く、また、夜型化している事は良く知られています。最近のOECDの調査で日本人の睡眠が最も短かったと報告されていますが、夜更かしで睡眠時間が短いというのは、大人だけの事ではありません。世界の大学生を対象にした調査では、日本の大学生の睡眠時間が極端に短く外れ値であるとして分析から除外されてしまったほどです。また、3歳児までの幼児を対象とした調査でも1日当たりの睡眠時間は対象となった17か国中、日本が最も短かったのです。このように、睡眠問題は、老若男女を問いません。また、文部科学省は、全国の不登校経験者を対象に、不登校になった原因を聞いていますが、1位の「友人との関係」というのは予測通りでしたが、第2位の原因が「生活リズムの乱れ」であったことは文部科学省としては、意外な結果であったようです。以上のことから、睡眠の問題というものは、子どもの健全な成長を考えるうえで、取り組むべき喫緊の課題であると言っても過言とは言えないでしょう。
睡眠の量も問題だが、睡眠のリズムの問題はさらに重大
日本は世界で最も睡眠時間が短いので、睡眠の量について、日本人に対しては、量的に多くとるようにアドバイスすることになりますが、睡眠時間は長ければ良いという訳ではありません。睡眠と覚醒は脳の中にある生体時計にコントロールされていますので、睡眠と覚醒をリズム現象としてとらえ、リズムの乱れの有無に注意するべきです。講演の中では、具体的なデータを示しながら、睡眠覚醒リズムの乱れが様々な心身の不調に強く結びついていることを示します。また、夜間睡眠があまりにも短い事は、日中の眠気の増加や認知機能の低下などを招くので、一定程度の夜間睡眠の量は必要ですが、睡眠覚醒リズムに気を配らず、睡眠の量を補おうと、日中に長い仮眠をとったり、週末に朝寝坊で睡眠時間を延ばそうとしたりするような、いわゆる「寝だめ」の戦略がとられることが良くありますが、これは、寝不足の問題を軽減するどころか、むしろ、日中の心身の問題を悪化させるのです。一般の方が睡眠のリズムの重要性を知らないために、自身のためと考えて、まったくの逆効果を生む結果となっているのです。これらの問題は、誤った知識に基づいて行われているため、正しい知識を知るだけでも改善が可能なのです。正しい睡眠の知識を得て、皆さんの人生を良い方向に変えていただきたいと思います。