The 68th Annual Meeting of the Japanese Association of School Health

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一般演題(ポスター)

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P37~P41 保健教育

座長:七木田 文彦(埼玉大学)

[P-39] 1970年代における保健科教育の実践課題に関する歴史的一考察―『学校体育』(日本体育社)のテキスト分析を通じて―

近藤 雄大 (北海道大学大学院 教育学院)

Keywords:保健科教育、テキスト分析、実践課題

【目的】先行研究によれば、1960年代と1970年代の時代背景を踏まえた保健科教育の意義や限界点等の対比が十分に検討されていない(内海,1984)。そこで、本研究は、『学校体育』(1970~1979年)の内容分析を通して、1970年代の保健科教育の実践課題を明らかにすることを目的とした。【方法】まず、『学校体育』の学校保健に関する論稿(258稿)を集めた。そのタイトルをKH coderで分析した結果をもとに、保健科教育、保健指導・保健学習、安全教育、公衆衛生・精神衛生、医学・生理学、事故・傷害の防止の6つにクラスタライズした。次に、保健科教育(21.7%)に関する論稿を同じ手順で分析し、抽出語リスト、共起ネットワーク図、多次元尺度法図を作成した。【結果】作成した図表から、例えば「精選」「構造」「構成」「教材」「内容」に着目すると、保健の科学的認識を育てる授業を目指して、子どもの理解と思考を深める発問や教材開発の重要性を指摘する文章が確認できる。そして保健科教育の教員等によって、保健科教育の構造や構成、教材や教授内容の改善の重要性が説かれる文脈に「精選」が現れている。【結論】1970年代の保健科教育の実践課題は、受験科目から外れ、マンネリ化した保健授業の形態を改善することであった。また、子どもたちが保健の知識を日常生活に応用、実践できるようにするために、教科書の内容のみを教えるだけではない、一人ひとりの教師による教科書の内容批判に基づいたリアリティがある魅力的な授業が求められていた。