The 68th Annual Meeting of the Japanese Association of School Health

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特別講演

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特別講演1
学校現場における子ども虐待の発見とその対応 学校現場で出来ること

Sat. Nov 5, 2022 1:20 PM - 2:20 PM LIVE配信第1会場

座長:山田 和子(四天王寺大学)

[SL1] 学校現場における子ども虐待の発見とその対応 学校現場で出来ること

柳川 敏彦 (南紀医療福祉センター)

Keywords:子ども虐待、学校現場、発見と対応

子ども虐待とは:気づきの大切さ
1999年にWHOにより、子ども虐待とは、「児童虐待は責任関係、信頼関係そして力関係の生じる状況において、あらゆるタイプの身体的虐待、情緒的(心理的)虐待、性的虐待、ネグレクトおよび商業的またはその他の搾取を意味し、結果として子どもの健康、生存、発達や尊厳を損なう、あるいは損なう可能性のある有害なもの」と定義された。子どもにとって強者となり得る存在として、虐待の加害者となりうるのは、家庭内の両親(養育者)だけでなく、子どもの周辺にいる大人として、保育園、幼稚園の保育士、学校教員、さらにはスクールバスの運転手も対象となり、同級生も力関係により加害者となる。責任関係としては、貧困や戦争が問題になる場合、国、社会が虐待の加害者となり得る。虐待の結果、「子どもの健康、生存、発達、尊厳を損なう、あるいは損なう可能性のある有害なもの」は、1989年に国連で採択された子どもの権利条約で謳われた4つの子どもの権利「生存、発達、保護、参加」の侵害を意味する。つまり、子ども虐待の定義は、「子どもの最善の利益(Best interest)」である子どもの権利の観点から考えることが重要である。子ども虐待を広い意味で捉えると、学校現場において、「気になる親子とその言動に対する気づき」が求められ、虐待は決して特殊事情でなく、日常の出来事という認識となる。

学校現場での発見と対応
子ども虐待の周辺には、いじめ、不登校などの課題に加え、神経発達症、家庭における貧困など教育現場だけでは解決出来ない諸問題が関係する事があり、さらに近年では自然災害のほか、新型コロナウイルス感染症による子どもの心身への影響が大きいことを鑑みると、よりいっそう子どもの周辺に起こっている出来事への細やかな配慮が必要となる。講演では、「子ども虐待の徴候(子ども虐待を見逃さないために)」、「子ども虐待への対応の基本的な考え方(チルドレン・イン・ニードと家族支援)」、そして「学校現場で心がける対応(前向き子育てのすすめ)」について言及する。