The 68th Annual Meeting of the Japanese Association of School Health

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シンポジウム2
学校保健活動の充実に向けた取り組みとその評価

座長:郷木 義子(新見公立大学)、下村 淳子(愛知学院大学)

[SY2-2] 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大による子どもたちの運動器機能への影響

鎌田 浩史1, 可西 泰修2, 山崎 正志3 (1.筑波大学医学医療系整形外科, 2.筑波大学医学医療系, 3.筑波大学医学医療系整形外科)

Keywords:COVID-19、運動器機能、運動器検診

はじめに
 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は2020年初頭から世界的に猛威をふるい、未だにわれわれの生活様式に大きな影響を及ぼし続けている。そのような中、特に子どもたちにおいては、成長発育期という大事な時期でもあり、運動器への影響が懸念されている。本研究の目的は、COVID-19感染拡大に伴う子どもたちの運動器機能への二次的影響について、2016年度より必須化された運動器検診の中でとらえることである。

方法
われわれの地域にておいては運動器検診必須化以降、市内で統一した運動器検診を実施している。問診票(つくば式運動器検診問診票:T-CLOSS)を使用し、異常所見を抽出しながら検診を進めているが、その中にコロナ感染拡大の影響を確認する質問項目を設定し、アンケート形式で子どもたちへの影響をスクリーニングした。それとともに、一部のモデル校においては、生徒全員を整形外科医がチェックする全身チェックや運動器機能検査(立位体前屈等)を行っており、その結果をコロナ感染拡大前後(2019年度から2022年度)にて比較した。

対象
2022年市内全公立小中学校生徒の問診においてwebにより得た20,309人の回答と、その中でモデル校にて直接診察をした児童・生徒を対象とした。

結果
 コロナ感染拡大による身体活動への影響に関して、「あり」の回答は5.7%程度であり、影響があった内訳(重複回答のため全体に占める割合)として、「体力が落ちた」65.6%、「筋力が落ちた」50.6%、「急に体重が増えた」34.0%であった。その要因の一つである運動量に関して「減った」の回答は52.7%であった。体育以外の運動量が「週4時間以上」は、2019年・22年でそれぞれ小学生27.7・21.2%、中学生49.7・32.3%、「週30分未満」は、小学生18.5・27.3%、中学生26.8・33.2%であった。
 前屈不可、しゃがみこみ不可に関しては、2020年度に関して、コロナ感染拡大前より若干多くなった傾向にあったが明らかな有意差は認められなかった。疼痛の有無、要医療機関受診に関しては感染拡大中には逆に減少傾向にあった。

まとめ
 運動器検診を通じて縦断的に子どもたちの変化をとらえることができた。コロナ感染拡大により、子どもたちのスポーツ活動時間は減少し、それに伴い運動器機能に影響があることが示唆された。これらを踏まえて、日ごろの身体活動が重要であることを改めて認識する必要があり、コロナ感染拡大に関わらず、積極的な介入を検討するなど、子どもたちの運動習慣を確保し、健全な運動器機能を守る必要があると思われた。