The 68th Annual Meeting of the Japanese Association of School Health

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シンポジウム3
教科としての「保健」のさらなる改善に向けて~注目される課題と提案~

座長:野津 有司(筑波大学)、岩田 英樹(金沢大学)

[SY3-2] 高等学校における新科目『保健探究』(仮)の構想に向けて

野津 有司 (筑波大学名誉教授)

Keywords:健康リテラシー、高等学校、保健探究

急激な社会の変化に伴い、学校教育に求められる教育のテーマは増える一方である。また、未知の課題に向き合い、適切に解決する力の育成も重要な課題となっている。そこで、平成29・30年の学習指導要領改訂では、まず育成すべき資質・能力について三つの柱で整理され、各教科等の見方・考え方を生かしてその実現を目指すことが示された。
保健についても当然ながら、この方針に基づいて改善が図られ、内容や取扱い等について工夫された。こうした中で、次への発展に向けた課題としては、健康にかかわる探究的な学習の充実とそれを保障する時間の確保が挙げられる。特に、高等学校の保健においては、今改訂では配当時間の増加がない中で、がん、精神疾患、安全、環境づくり、社会参加等の内容が拡充され、全体として深い学びの充実が極めて懸念される。
そこで、小学校、中学校、高校1年および2年での保健の学習を通して、培われてきた健康リテラシーを、高校3年の最終段階においてより確かなものにする科目「保健探究」(仮)を新たに位置づけることを提案したい。本発表では、その具体化、実現化に向けて、いくつかの点をたたき台として示す予定である。今後、この新科目の是非をはじめ、内容、配当時間、担当者、進め方等の具体的な中身や実現のためのストラテジー等について、活発に議論されることを期待している。