国際開発学会第35回全国大会・人間の安全保障学会第14回年次大会

講演情報

一般口頭発表

災害・支援・経済発展——バングラデシュの事例

2024年11月10日(日) 12:45 〜 14:45 F304 (富士見坂校舎 304)

座長: 南出 和余(神戸女学院大学)

コメンテーター: 南出 和余(神戸女学院大学), 狩野 剛(金沢工業大学)

12:45 〜 13:15

[2D205] バングラデシュの住民参加型住宅型建設事業からみる適正技術

*宮地 茉莉1 (1. 関西大学)

キーワード:適正技術、住民参加型、住宅再建、発展途上国

バングラデシュはサイクロン災害脆弱地域であり、独立前からサイクロン災害対策としてサイクロンシェルターと呼ばれる避難所の建設を進めてきた。しかしながら政府や国際機関のトップダウン式の避難所建設だったことから、地域文化に即していないこと、建設技術までが現地に伝わっておらず維持管理ができないことが課題として挙げられてきた。以上の課題を受け、2009年のサイクロン被災後に現地のBRAC大学が住民自ら維持管理できる住宅型シェルターを考案し、住民参加型ワークショップを開催してデザインから施工まで住民と協働で住宅型シェルターを建設した。本稿では、2015年および2022年に実施した居住後調査の結果から、住宅の災害耐性向上だけでなく、住宅型シェルターの維持管理の実態と住民の生活水準について分析することで、住民参加型住宅建設事業がバングラデシュの農村地域の技術レベルに則した適正技術であったか検証し、さらに居住者の生活環境や生活水準の影響についても明らかにすることを目的とする。現地調査ではBRAC大学の住宅再建事業で再建された43戸42世帯を対象にアンケートシートを用いた半構造化インタビュー、住宅および周辺外構の実測調査を実施した。結果として、2015年の調査時には住民自ら施工に携わった住宅型シェルターでは43戸中42戸で増改築が確認され、2022年では家族構成や家庭環境の変化に伴いさらなる増改築が実施されており、住民自ら維持管理されていること、さらに住宅再建事業後に家畜の数なども増加していることを確認した。以上より、住民参加型住宅建設事業は住民の技術レベルに則した住宅建設支援の手法、すなわち適正技術だったこと、さらに住民の生活水準向上にも貢献する手法であると言える。

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