第12回JBFシンポジウム

ご挨拶

第 12 回 JBF シンポジウム
           実行委員長      内山 仁(東和薬品株式会社)
           実行副委員長   山口 建(株式会社住化分析センター)
バイオアナリシスフォーラムは、生体試料分析法バリデーション(Bioanalytical Method Validation、BMV)のグローバルハーモナイゼーションの動きへの対応が必要な状況の下、 バイオアナリシスに関連する技術と品質の向上に寄与し、医療と分析化学の発展に貢献す る目的で、2011 年に設立されました。 BMV の主な指針は、2001 年に米国食品医薬品局から発出されたガイダンスから始まり、 その後、我が国を含む各国からもガイドラインが発出されてきました。これらの調和を目 的に、2019 年に「ICH M10 生体試料中薬物濃度分析法バリデーション ガイドライン(案)」 が作成されました。今後、ICH ガイドラインが最終合意され、各国の規制に実装されるこ とで、バイオアナリシスの規制のグローバルハーモナイゼーションが進みます。一方で、 医薬品のモダリティは多様化しており、その分析手法の変革も予測されます。そのため、 これらの変化に対応できる人材がますます重要となります。バイオアナリシス研究者は 日々研鑽を積んでいますが、産官学において更なる人材の底上げが望まれます。大学等の 教育機関にかかる期待は大きく、より「バイオアナリシス」の認知度を上げる必要があり ます。企業においても次世代を担う研究者を育むのは重要な課題であると思います。 また、昨今の COVID-19 禍によって、医薬品開発や診断が注目を集め、より負担が少な く、迅速且つ正確な分析技術の確立が求められています。PCR は最たる例ではないでしょ うか。この要求に応えるテクノロジーの発達が期待されます。医薬品のモダリティだけで なく、このように分析技術が発展・多様化することは、バイオアナリシス研究者の活躍の 場を広げるチャンスになります。新しい生活様式が求められる今、我々研究者にも、これ まで以上に新たな領域を開拓するチャレンジが求められます。 本シンポジウムの主題は、「バイオアナリシス関連分野の若手研究者(学生を含む)を育 む場」及び「フロンティアを開拓していくために議論する場」の提供を考え、「For the Next Generation」としました。このような視点から、バイオアナリストと関連の深い薬物動態 研究及びバイオマーカー分析の話題に加え、これからバイオアナリストのために中分子・ 核酸分析、Patient Centricity、遺伝子治療及び遺伝子パネルなどのテーマを取り入れ、国 内外の演者からの話題を基に議論を予定しております。また、本年では基調講演、一般募 集演題ポスター、JBF ディスカッショングループによる話題及び無料基礎講座に加え新た な取り組みとして若手による口頭発表なども企画しております。 バイオアナリシスフォーラムの設立 10 年目において、本シンポジウムがグローバルハー モナイゼーションの現状を認識し、バイオアナリシスの未来への取り組みについて共に考 える機会となり、バイオアナリシスに関わる方々と、バイオアナリストを目指す方々に有 意義な時間となりますよう、願っております。多くの皆様のご参加をお待ちしております。

2020 年 8 月吉日