第15回JBFシンポジウム

ご挨拶

第 15回 JBF シンポジウム
    実行委員長     丹羽 誠(日本新薬株式会社)
    実行副委員長 荒川 朋子(ファイザーR&D合同会社)
  第15回JBFシンポジウムを2024年2月5日から7日、京都市勧業館みやこめっせにて、ハイブリッド形式にて開催します。皆さまとバイオアナリシスの新たな世界について共に探求し、議論を深めることを心より楽しみにしています。
 今年のシンポジウムのテーマは「Toward the new world: The universality of scientific endeavor(新しい世界へ:科学面における努力の普遍性)」です。このテーマは、私たちが実践する生体試料の定量というバイオアナリシスの本質に向けて、過去の科学の冒険が展開され、そしてこれからも続いていくことを象徴しています。
 過去を振り返ってみますと、例えばLC-MSでの定量について変動要因が把握しきれておらず、試験室間での再現性を確保することが難しいとされていた時代もありました。しかし、分析原理の深い理解や実験結果の評価方法といった基礎及び評価科学の発展により、複雑で繊細な分析法を活用した定量が可能となりました。このような進展は、まさに科学面における努力と呼ぶにふさわしいものです。
 評価方法という観点では、2022年にICH M10ガイドラインがStep4に到達し、各地域でStep5として実装される時期になりました。分析法の管理方法が国際的に標準化され、国際的な情報の行き来も更に活発になる時期にさしかかっています。この観点で、新しい世界という言葉をテーマに含めてみました。
 シンポジウムのプログラムは、従来と同様のフォーマットで構成する予定です。すなわち、基礎講座、重要なトピックに関する依頼講演、挑戦的事例・試行的事例・教訓的失敗例を含むポスター発表、ディスカッショングループの検討成果発表、シンポジウム内のtemporal discussion group(希望者のみ参加)、最新の技術を共有するための分析機器ベンダーや受託研究機関による展示とセミナーなどを計画しています。依頼公演の話題としては、ICH M10実装、qPCR技術的留意点、信頼性保証、抗薬物抗体評価、質量分析、AI活用等を検討しています。
 会場は、明治期の京都の都市再生に貢献した琵琶湖疎水の蹴上発電所にほど近い場所です。新しい時代を切り開いた先人の努力にバイオアナリシスの新時代を重ね合わせながら、議論を深めたいと考えています。 本シンポジウムで皆さまとの交流と情報共有を実現し、これが新しい世界への道筋をつける一助となることを願っています。

2023年 6月吉日