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[JCAA-2] 4D-Flow/MRAを用いた腹部大動脈瘤ステントグラフト内挿術後endoleakの血行動態解析
キーワード:4D-Flow, endoleak
【背景】Endoleak(EL)は腹部大動脈瘤ステントグラフト内挿術(EVAR)の術後に瘤増大や破裂の原因となる。今回,心周期に同期して撮影する4-dimensional flow-sensitive MRI(4D-Flow)を用いてELの血行動態解析を行った。【方法】2013年1月~2014年4月に,EVAR術後10日以内にMRA/4D-Flow及びCTを施行した24症例を対象とし,CT及びMRAのEL検出率並びに4D-Flowによる ELの血行動態解析を行った。【結果】MRA/4D-Flowでは24例中18例(75%)にELを認めたが,CTでは12例(50%)の検出であった。type I~IV全てのELに対し4D-Flowで血行動態解析を行った。18例中7例(39%)で複数タイプのELを合併していた。Type II EL単独の症例は10例(56%)で,4D-Flowにて腹部大動脈の分枝血管の血行動態を解析,type IIa,IIb,IIcのサブタイプに分類した。Type IIa ELは分枝血流がto-and-froの単独型とし,7例15本の分枝血管で認め,それらのpeak flow volume(PFV)は-61.4 ± -40.9~69.5 ± 69.5 mm3/秒であった。一方,type IIb ELはinflowとoutflow分枝間に交通を認めるものとし,2例3本の流入流出血管が確認され,それらのPFVはinflow分枝で98.9 ± 94.1 mm3/秒,outflow分枝で-68.3 ± -34.5 mm3/秒であった。Type IIc ELは一方向の血流を示す分枝血管単独型とし,1例1本の流入血管(PFVは136.2 mm3/秒)が認められた。なお,ELの血流は末梢から大動脈瘤内への逆行性を正とした。【考察】MRA/4D-FlowはCTより ELの検出に優れ,血行動態解析にてtype II ELを更に詳しく分析することが可能であった。また4D-Flowは1症例に複数のELを合併している例ではその判別を可能とし,ELに対する治療戦略上,有用であると期待される。