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[JCSY-5-2] 静脈血栓塞栓症における抗血栓療法Update
静脈血栓塞栓症(以下VTE)における抗血栓療法では、画一的にヘパリン(我が国では未分画ヘパリン、海外では低分子ヘパリン)による抗凝固療法とビタミンK依存性因子合成阻害薬ワーファリンによる治療と予防が長らく行われてきた。
我が国では2007年に皮下注射製剤である抗Ⅹa阻害薬フォンダパリヌクスが整形外科下肢手術術後の予防に認可され、さらに2008年には腹部手術術後にも認可された。海外で広く使用されている低分子ヘパリンであるエノキサパリンも同様の適応で認可され、2004年静脈血栓塞栓症予防ガイドラン発刊以来、理学療法が中心となっていた静脈血栓予防に新たな選択枝が追加された。2011年には急性肺塞栓症および急性深部静脈血栓症の治療にフォンダパリヌクスが認可された。同薬剤は頻回のモニタリングしながらの未分画へパリン持続投与を必要としたVTE治療を単純化した。しかしヘパリンに比して半減期が長く中和剤がなかった。心房細動にも使用されている経口抗Ⅹa製剤および経口直接トロンビン阻害薬は大規模治験でほぼ同様の抗血栓効果と出血合併症の減少を示し、欧米で先行してVTEに使用されている。ヘパリン、ワーファリンからの推移が見られるが、詳細な患者選択などではまだ議論の余地がある。わが国でもVTEに対して経口抗Ⅹa製剤の治験が進行あるいは終了している。
VTEは深部静脈血栓症と肺塞栓症とでは予後に差があり、深部静脈血栓症も近位型と下腿型、肺塞栓症も無症候の非広汎型肺塞栓症から循環不全を伴う広汎型と重症度の範囲が広い。これらの幅広い疾患に同一の抗血栓療法が適応となるかは更なる検討が必要と思われる。
我が国では2007年に皮下注射製剤である抗Ⅹa阻害薬フォンダパリヌクスが整形外科下肢手術術後の予防に認可され、さらに2008年には腹部手術術後にも認可された。海外で広く使用されている低分子ヘパリンであるエノキサパリンも同様の適応で認可され、2004年静脈血栓塞栓症予防ガイドラン発刊以来、理学療法が中心となっていた静脈血栓予防に新たな選択枝が追加された。2011年には急性肺塞栓症および急性深部静脈血栓症の治療にフォンダパリヌクスが認可された。同薬剤は頻回のモニタリングしながらの未分画へパリン持続投与を必要としたVTE治療を単純化した。しかしヘパリンに比して半減期が長く中和剤がなかった。心房細動にも使用されている経口抗Ⅹa製剤および経口直接トロンビン阻害薬は大規模治験でほぼ同様の抗血栓効果と出血合併症の減少を示し、欧米で先行してVTEに使用されている。ヘパリン、ワーファリンからの推移が見られるが、詳細な患者選択などではまだ議論の余地がある。わが国でもVTEに対して経口抗Ⅹa製剤の治験が進行あるいは終了している。
VTEは深部静脈血栓症と肺塞栓症とでは予後に差があり、深部静脈血栓症も近位型と下腿型、肺塞栓症も無症候の非広汎型肺塞栓症から循環不全を伴う広汎型と重症度の範囲が広い。これらの幅広い疾患に同一の抗血栓療法が適応となるかは更なる検討が必要と思われる。