11:24 AM - 11:56 AM
[O-11-4] 超音波検査による術前静脈径と術中静脈グラフト評価の比較
Keywords:ultrasonography, vein graft
【背景】下肢血行再建術における自家静脈バイパスグラフトの長期開存には,移植前の静脈の質が重要であり,重症虚血肢の多い当院では仰臥位での術前静脈評価を施行している。【目的】術前の超音波検査と手術中の静脈グラフト評価(QOV)を比較検討すること。【方法】大伏在静脈(SMV)を用いた下肢血行再建術施行症例中,静脈評価を術前3ヶ月以内に施行した連続70例79肢(single vein 58肢,SMV一部不良によるspliced vein 16肢,SMV長の不足によるspliced vein 5肢)を対象とし,後ろ向きに検討した。術前静脈評価はSMVの走行・石灰化・穿通枝などを確認し,内径を1肢平均14か所で測定した。使用部分の中央値(SMD)≧2.5 mmをNon-Poor(NP),<2.5 mmをPoor(P)とした。QOVは手術時の静脈径と拡張性によりnon-poor(np)群とpoor(p)群に分けた。【結果】SMDとQOVを組み合わせた内訳は,P-p 6肢(7.6%),P-np 9肢(11.4%),NP-p 13肢(16.4%),NP-np 51肢(64.6%)であった。NP-pは閉塞性血栓性血管炎(TAO)4肢を含む質の不良5肢,拡張性の不良3肢,varicose vein 1肢,径が3mm未満3肢,理由不明1肢であった。p群はnp群に比して有意にTAOが高率であった(4/19 vs 1/60肢,p<0.01)が,透析による差を認めなかった。大腿部と下腿部における比較では,np群の割合に差はなかった(56/70 vs 29/41肢)が,術前にPoorと判断されたnp群が大腿部に比して下腿部は有意に多かった(6/56 vs 11/29肢,p<0.01)。【考察】TAOの合併は静脈の質の低下に関係していると考えられた。下腿部のQOVは大腿部と差を認めなかったが,術前静脈径は細かった。【結語】仰臥位での術前静脈評価時には静脈径の他に,TAOと静脈の拡張性を考慮する必要性が考えられた。