第55回日本脈管学会総会

講演情報

一般演題(口述)

検査・診断3

2014年10月30日(木) 15:14 〜 15:46 第5会場 (201会議室)

座長: 地引政利(国際医療福祉大学 塩谷病院 血管外科)

15:14 〜 15:46

[O-14-1] 当院における頸動脈IMTと動脈硬化危険因子との関連

小林直子 (石岡市医師会病院 診療技術部生理機能室)

キーワード:Carotid atherosclerosis, Risk factors

【目的】頸動脈IMTは全身の動脈硬化の指標とされているため,IMTと高血圧(HT),脂質異常(HL),糖尿病(DM)などと加齢性変化を検討した。【方法】当院で頸動脈エコーを実施した外来患者,健診受診者265名を対象とした。検査所見と既往歴より動脈硬化危険因子(HT,HL,DM)をもつ群を疾患あり群,危険因子のない群を健常群とし,疾患別,年代別でのIMTの肥厚についてt検定を用いて検討した。【結果】健常群は77名(男性30名,女性47名,平均年齢48.7歳),疾患あり群は188名(男性112名,女性76名,平均年齢57.6歳)であった。健常群IMT(0.58±0.14)に比べ疾患あり群IMT(0.81±0.18)は有意に肥厚していた(p<0.001)。疾患別ではHL群<HT群<DM群の順に肥厚していた。健常群での年代別IMTは30代IMT0.47±0.06,40代IMT0.57±0.13,50代IMT0.60±0.15,60代IMT0.71±0.11と加齢により肥厚していた。各疾患の年代別IMTはHT群40代IMT0.58±0.09,50代IMT0.75±0.13,60代IMT0.98±0.33,HL群40代IMT0.73±0.06,50代IMT0.71±0.12,60代IMT0.76±0.12,DM群40代IMT0.77±0.12,50代IMT0.78±0.13,60代IMT0.83±0.12であった。【結語】当院での年代別平均IMTは早期動脈硬化研究会での基準値(50歳代の基準値を1.0mm以下とし,10歳ごとに0.1mm増減する)より低値となっていた。基礎疾患ごとにIMTの肥厚傾向が異なるため,施設ごとに基礎疾患や年齢を考慮した基準値設定をすることが必要と考えられた。