16:26 〜 17:30
[O-16-2] 冠動脈石灰化結節の血管内イメージング画像と病理像
キーワード:coronary artery, calcification
【背景】急性冠症候群(ACS)の発症機序としてプラーク破裂やびらん以外に,冠動脈石灰化結節(calcified nodule: CN)が報告されている。しかし,CNの病因やACS発症メカニズムは不明な点が多い。【方法】剖検にて摘出した冠動脈のCN 6病変(うち1病変はCNによるACS発症例)において,ex-vivoで血管内超音波(IVUS),光干渉断層法(OCT),血管内視鏡(CAS)を施行した。病変部の病理切片を作成し,血管内イメージング画像と病理像を対比した。【結果】ACSを発症した1病変はOCTにて血栓形成が示唆される,内腔に突出する境界明瞭な低輝度領域が認められ,高度狭窄を呈していた。病理像では高度石灰化とフィブリン析出を伴ったCNが認められ,内腔表層の一部で壁在性のフィブリン血栓の付着が認められた。他の2病変は,IVUSで後方の音響陰影を伴って表層に不整な高エコー領域を認め,OCTでは内腔に突出する後方へのシグナル減衰を伴う低輝度領域として観察された。CASでは表層は淡赤色であった。血管内イメージング画像から表層に壁在血栓の付着を伴ったCNが疑われた。病理像は冠動脈内に突出する病変に石灰化とフィブリン析出,毛細血管の増生を伴った幼弱な細胞外基質を認め,いずれも典型的なCNの病理像であった。表層は薄い線維結合組織と内皮細胞が直下の石灰化病変やフィブリンを完全に被覆し,壁在血栓の付着は認められなかった。【結論】典型的なCNは血管内イメージングで診断可能であるが,CNにおける血管内腔の付着血栓の評価には限界があることが示唆された。CNの発症機序としてプラーク破裂により形成された血栓の修復像,プラーク内新生血管の破綻による出血が関与している可能性が示唆された。