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[O-16-6] 急性静脈血栓塞栓症に対するフォンダパリヌクスの使用経験
キーワード:fondaparinux, venous thromboembolism
フォンダパリヌクス(FPx)は皮下注用の活性化第X因子阻害剤で,静脈血栓塞栓症(VTE)に対して欧米のガイドラインで使用が推奨されている。ヘパリン製剤と同等の治療効果が,より簡便に得られ,安全性も高いとされている。しかしながら,本邦において健保適応後の安全性および有効性に関する報告は少ない。【目的】当院における急性VTEの初期治療薬としてのFPxの有効性と安全性について検討すること。【方法】当院で加療した急性VTE患者80名について,初期治療薬としてFPxを使用した41名と,対照として初期治療薬に未分画ヘパリン(UFH)を使用した39名とをretrospectiveに比較検討を行った。有効性については造影CT検査で血栓縮小の有無,および治療開始90日後までの再発の有無について評価を行った。安全性については出血事象の有無について評価を行った。【結果】深部静脈血栓症(DVT)と肺血栓塞栓症(PE)のいずれの病態においても,血栓縮小の有無に関して両群で有意差を認めなかった(DVT:FPx群69.1%,UFH群60.2%,P=0.30,PE:FPx群93.0%,UFH群75.2%,P=0.21)。またVTEの再発はFPx群のみで2例を認めたが両群で有意な差はなかった(FPx群6.5%,UFH群0%,P=0.23)。安全性については治療期間中にFPx群で2例,UFH群で3例の出血事象を認めたが,両群で有意な差はなかった(FPx群4.8%,UFH群8.7%,P=0.90)。【結語】VTEの初期治療薬としてのFPxは安全性,有効性ともにUFHと同等であった。FPxはモニタリング不要で,投与法も簡便であるため,UFHと比べて患者の苦痛軽減,医療従事者の仕事量軽減の観点から優れていると考えられる。