10:20 〜 10:52
[O-18-1] 深部静脈血栓症の超音波検査における検査精度向上を目的とした検討
キーワード:DVT, ultrasound
【背景・目的】超音波検査による下肢深部静脈血栓症(deep vein thrombosis:DVT)の検索は手技に熟練を要し,器質化した退縮血栓の場合には経過観察の評価において再現性に乏しい場合も見られる。そこでDVTのリスク患者を絞り込み,検査前確率を向上させ造影CT検査と超音波検査を組み合わせたDVT検査精度向上の取り組みについて検討した。【対象・方法】2013年6月~2014年6月の期間に臨床所見よりDVTが疑われ,下肢静脈超音波検査を施行した105例を対象として,Wellsスコア各項目のオッズ比を評価した。ただし対象に慢性期DVTも含まれるためWellsスコア項目の「疼痛」は,だるさ・しびれなど「何らかの症状を有するもの」とした。またDダイマー値とDVT陽性群間のROC曲線の算出と,DVT陽性例において超音波検査と造影CT検査の所見の比較を合わせて検討した。【結果】DVT有無について,左右差を伴う下肢腫脹(オッズ比:3.2 95%CI:1.414~7.326)と下肢症状あり(オッズ比:2.4 95%CI:1.082~5.231)の場合に有意差を認めた。なお,これら2項目を有さずDVTを認めた症例は8例あった。DVTの有無とDダイマー値のROC曲線下面積は0.5と低い精度を示し,Dダイマー単独でDVTを予測することは困難であった。超音波検査と造影CT検査の所見の比較は下腿部では26例中10例が超音波検査DVT陽性・造影CT検査陰性となり,下腿部DVT描出には超音波検査が有用である可能性が示唆された。【結論】DVTの検査精度向上のためには,理学的所見による検査前確率を高めて陽性予測値を上げることが重要である。また,画像検査は部位による描出能の違いが示唆されるため,超音波検査と造影CT検査を併用することが望ましいと考える。