第55回日本脈管学会総会

講演情報

一般演題(口述)

CVT

2014年10月31日(金) 10:20 〜 10:52 第3会場 (202会議室)

座長: 渡部芳子(川崎医科大学 生理学1)

10:20 〜 10:52

[O-18-4] 超音波エラストグラフィを用いた下肢静脈圧推定の試み

齊藤雪枝1, 孟真2 (1.横浜南共済病院 臨床検査科生理検査室, 2.横浜南共済病院 心臓血管外科)

キーワード:elastography, venous pressure

【はじめに】エラストグラフィを用いて血管内圧の推定が可能か基礎実験施行し,下肢静脈瘤患者に適応し静脈圧が重症度で上昇しているか検討。【対象と方法】上腕動脈:健常者40名(男性13名)左上腕血圧を測定。ストレイン値は左肘屈曲部より5cm上部で測定。ストレイン値と上腕動脈血圧の相関を回帰分析にて検討した。下肢静脈:下肢静脈瘤肢96肢。健常肢11肢(CEAP分類内訳C0:11肢C2:31肢C3:18肢C4:29肢C5:1肢C6:6肢)を対象に立位にて膝下5cmでストレイン値を測定。上腕動脈から求めた回帰分析を用い静脈圧値の推定を行った。使用機器:東芝Aplio500エラストグラフィ,12MHzリニアプローブを使用。【結果】上腕動脈圧とストレイン値は良好な相関を示した(r=0.43,p=0.005)。下肢静脈ストレイン値はC0:0.75±0.45,C2:2.63±1.13,C3:3.20±1.61,C4:3.44±1.43,C5:7.86,C6:6.41±2.56であり重症度が増すとストレイン値は上昇傾向がみられ,静脈性高血圧をきたしている事が示唆された。また,同側肢10肢で逆流の無い本幹と静脈瘤部での検討では本幹1.12±0.52,静脈瘤4.97±1.73とストレイン値はp<0.001と有意差を認め,推定下肢静脈圧は逆流のない本幹119±3.5,静脈瘤部145±11.5と同側肢で逆流のない静脈に対し逆流部位では静脈圧上昇が認められた。【結語】ストレイン値を用いて血管内圧を推定できることが示唆された。本法を用いると重症下肢静脈瘤患者の静脈圧は上昇しており,下肢静脈重症度評価に使用できる可能性が示唆された。