第55回日本脈管学会総会

講演情報

一般演題(口述)

下肢静脈瘤1

2014年10月31日(金) 10:52 〜 11:40 第3会場 (202会議室)

座長: 諸國眞太郎(諸國眞太郎クリニック), 小川智弘(福島第一病院 心臓血管病センター)

10:52 〜 11:40

[O-19-2] 血管内レーザー焼灼術におけるデクスメデトミジン塩酸塩による鎮静効果の検討

和多田晋1, 掛札敏裕1, 松原健太郎2, 尾原秀明2, 北川雄光2 (1.川崎市立川崎病院, 2.慶應義塾大学 外科)

キーワード:varix, dexmedetomidine hydrochloride

【はじめに】血管内レーザー焼灼術(EVLA)ではTLA麻酔注入のため頻回の穿刺が必要であり,局所麻酔単独では苦痛を伴う。そこで,術中モルヒネ製剤やプロポフォールを鎮痛,鎮静剤として併用する施設も多いが,症例による効果の差が大きく,術後安静時間の遷延や嘔気嘔吐の原因になることもある。一方,デクスメデトミジン塩酸塩は集中治療下における鎮静剤としての有効性,安全性が確立され頻用されている薬剤であり,2013年6月より「局所麻酔下における非挿管での手術および処置時の鎮静」にも使用可能となった。当院では2014年1月よりEVLA(980nm)を導入しており術中鎮静剤としてデクスメデトミジン塩酸塩を全例に使用している。【方法】当院で2014年1月から6月までに片側もしくは両側大伏在静脈にEVLAを施行された21例を対象にデクスメデトミジン塩酸塩の効果,副作用を検討した。またストリッピング手術を施行された13例でも検討した。【結果】全例で術中入眠が得られ,17例は術中の記憶がなかった。追加で鎮痛,鎮静剤を用いた症例はなかった。一方,12例で術中無意識に体動することがあったが手術に支障はなかった。術中血圧低下,徐脈,SpO2低下を認める事はあったが,鼻カニュラによる酸素投与以外の処置は不要であった。また,全例で離床時のトラブルもなく,食事摂取も良好で嘔気嘔吐を認めなかった。ストリッピング手術でも同等の結果であった。【結語】デクスメデトミジン塩酸塩による鎮静は安全に術中,術後の苦痛を軽減させること可能性が示唆されたが,比較検討していない点,day surgeryではない点が今後の課題である。