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[O-2-2] 弓部大動脈瘤へのdebranch TEVAR
キーワード:debranch, TEVAR
【背景・対象】当科では2010年12月から企業製SGによるTEVARを施行しており,2014年5月まで計152例施行した。2011年6月よりdebranch法を導入し,ハイリスクな症例を中心にZone2以上の領域へ適応を拡大してきた(緊急例を除き左鎖骨下動脈まで全例再建する方針としている)。現在debranch TEVARが全TEVAR症例の40~50%を占め,2014年5月までに63例施行したので成績を報告する。【結果】男性52例・女性11例,平均年齢74.7歳,開胸術の既往18例。瘤性状は真性38例,解離関連25例(A型解離術後7例,B型解離18例)。使用deviceはTX2:51例,TAG:14例,TALENT:1例(併用例あり)。留置部位は,Zone2が34例,Zone1が22例,Zone0が7例で,Zone1の1例及びZone0の4例を除き非開胸下で施行した。破裂及び切迫破裂での緊急例は4例。非開胸下の基本術式は腋窩動脈間バイパス(+左総頚動脈バイパス)+左鎖骨下動脈コイル塞栓術としている。併施手術としてはCABG2例,EVAR2例,F-Fバイパス1例。平均の手術時間はZone2で137分,Zone1で199分,Zone0で287分であった。平均ICU入室期間1.9日,平均術後入院期間15.5日。術後合併症は脳梗塞3例,神経因性膀胱2例,不全対麻痺2例,肺炎1例。手術死亡はなかったが,病院死亡を2例認めた。endoleakはType Iaが2例,Type IIが4例で,フォローアップ中に瘤径拡大例は認めていない。【結語】自験例の弓部領域へのdebranch TEVARの短期~中期成績は概ね良好であったが,長期成績や,分枝deviceを含めた機器の発達等,弓部領域への術式は依然として変遷の途上であるため,今後更なる検討が必要と考える。