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[O-21-4] 高齢者下肢静脈瘤に対する日帰り手術
キーワード:varicose veins, ambulatory surgery
当院は日帰り手術に特化した有床クリニックで,2007年10月より2014年5月までに下肢静脈瘤,痔疾患,手掌多汗症,鼠径ヘルニア,胆石症など日帰り手術を11000例以上に施行した。下肢静脈瘤は2823例(硬化療法を除く)で,80歳以上の高齢者は48例61肢(男性10例,女性38例,80~93歳)であった。足のむくみ,脂肪硬化など有症状患者が多く,静脈瘤分類C2:7肢(11.5%),C3:39肢(63.9%),C4a:5肢(8.2%),C4b:8肢(13.1%),C6:2肢(3.3%)であった。33例(68.8%)に循環器疾患を認め,14例(29.2%)が抗血小板剤,4例(8.3%)が抗凝固剤を内服していた。初診時に超音波ドプラー検査で一次性静脈瘤を診断し,PCとクリニカルパスを用いて静脈瘤の病態,治療法,日帰り手術の流れを説明した。術式は2010年までは血管内レーザー焼灼術(EVLA)9肢,選択的ストリッピング術5肢,EVLAが保険適応となった2011年以降はEVLA 46肢,選択的ストリッピング術1肢で,プロポフォール+局所膨潤麻酔下に平均手術時間は18.7±9.0分であった。EVLAは半導体レーザー980nm,照射エネルギー密度70~85J/cm,出力10Wとした。弾性包帯で患肢を圧迫し手術直後より歩行した。翌日に超音波検査で伏在静脈,深部静脈の状態を確認し,術後1か月間は弾性ストッキングで圧迫療法を継続した。術後数日から中程度の皮下出血を6肢(9.8%)に認めたが2週間ほどで軽快した。末梢神経障害は3肢(4.9%)で3か月以内に軽快した。EVLA翌日にclass 2のEHITを1肢に併発したが,抗凝固剤を3週間内服し血栓は消失した。深部静脈血栓症など重篤な合併症はなかった。EVLAは抗血小板剤,抗凝固剤を継続したまま手術が可能で,高齢者でも安全に下肢静脈瘤の日帰り手術を施行できた。