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[O-25-4] 下肢虚血を発症した遺残坐骨動脈瘤に対するhybrid手術の経験
キーワード:persistent sciatic artery, hybrid operation
遺残坐骨動脈瘤(PSAA)は稀な動脈疾患であり,治療には解剖学的特徴を正確に認識することが重要である。また,PSAAの直達手術は手術侵襲が大きい。我々は,PSAAによる下肢虚血の3例に対し,Amplatz vascular plug(AVP)やcoilによる瘤の塞栓術とバイパス術のhybrid手術を経験したので報告する。【症例1】75歳女性。右下肢type 2aのPSAAの末梢閉塞による急性下肢虚血。Femoro-ATA-PTA bypass(SVG)と膝瘤動脈吻合部中枢側の閉鎖を先行施行し,後日中枢,末梢のAVP留置による瘤の空置を完成させた。術後5年のCTで瘤への血流は認められず退縮傾向である。【症例2】69歳男性。右下肢type 2aの遺残坐骨動脈(PSA)の末梢側急性閉塞でPSA末梢とBK膝窩動脈のバイパス歴あり。その後PSAの瘤化による塞栓症で来院。F-P bypass(SVG)と膝瘤動脈吻合部中枢側の閉鎖を施行し,後日AVPによる瘤の中枢側閉塞を行い瘤の空置を完成させた。術後4年のCTで瘤への流入血管を認めるものの瘤の拡大は無く経過観察中。【症例3】79歳女性。右下肢type 2aのPSAAの末梢閉塞による急性下肢虚血。ePTFEを用いたF-P bypassと膝瘤動脈吻合部中枢側の閉鎖を施行し,後日coilによる瘤の中枢,末梢の塞栓術を行い瘤の空置を完成させた。直後のCTで瘤への造影剤流入を認めたが,術後2年のCTで造影剤流入の減少と瘤の縮小を認めた。(結語)下肢虚血を発症したPSAAに対するバイパス術とAVPやcoilによる瘤の塞栓術のhybrid手術は手術侵襲を軽減しえると考えられた。