第55回日本脈管学会総会

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一般演題(口述)

PAD1

Fri. Oct 31, 2014 11:00 AM - 11:48 AM 第4会場 (203会議室)

座長: 脇田昇(独立行政法人労働者健康福祉機構 神戸労災病院 心臓血管外科), 布川雅雄(杏林大学医学部付属病院 心臓血管外科)

11:00 AM - 11:48 AM

[O-26-1] PADに対するハイブリッド治療―循環器内科と血管外科の共生を目指して―

大澤晋1, 戸田洋伸2, 藤井泰宏1, 伊藤浩2, 佐野俊二1 (1.岡山大学病院 心臓血管外科, 2.岡山大学病院 循環器内科)

Keywords:hybrid therapy, doctor's communication

【はじめに】PADに対する治療はTASC分類が発表される前後から急速に血管内治療が発達し,毎年のように「内科 vs. 外科」の構図で議論されているが,あまり建設的でない結果に終わってしまうことも少なくない。患者にとってはどちらも立派な「先生」であるのに,なぜそのような結果になるか?血管外科医が血管内治療もすべて行う必要があるのか?循環器内科医はどこまで行うべきか?【方法】2013年4月より,当院循環器内科に末梢血管専門医が一名赴任した。それまでは血管外科医一名が血管内治療を含め,すべての血管疾患領域の治療を行っていた。我々はpoly vascular diseaseという共通の概念から,PADに対するお互いの考え方を率直に話し合うことで,For the patientsの立場からTASC分類に対して何を考えられるかを検討した。【結果】循環器内科医が介入することで,今までのABIや術前造影検査だけではなく,トレッドミルABIやSPPの積極的な導入を行い,vascular lobo的な介入を行うことができるようになった。運動療法・薬物療法の導入を明確にし,感覚的な治療介入を行うことがなくなった。SFA領域のlong CTOについては,病変長に比して間欠性跛行などの自覚症状が乏しい場合があり,逆にpinpoint病変では自覚症状が強く出る傾向を互いに認識しており,これらの病変への治療介入に対し共通認識を得ることができた。この結果,ハイブリッド療法では双方の治療に主従でかかわるようになった。【結語】血管外科医でも循環器内科医でもPAD患者を診ることには変わりなく,どちらの治療がよいかではなく,互いが治療を理解することにより,最善の結果を患者にもたらすことが可能になるものと考えられる。