第55回日本脈管学会総会

Presentation information

一般演題(口述)

PAD1

Fri. Oct 31, 2014 11:00 AM - 11:48 AM 第4会場 (203会議室)

座長: 脇田昇(独立行政法人労働者健康福祉機構 神戸労災病院 心臓血管外科), 布川雅雄(杏林大学医学部付属病院 心臓血管外科)

11:00 AM - 11:48 AM

[O-26-2] 浅大腿動脈の完全閉塞病変に対するCrosser Systemの使用経験

高井佳菜子, 大谷則史 (製鉄記念室蘭病院 心臓血管外科)

Keywords:chronic total occlusions, Crosser System

【はじめに】従来,下肢動脈におけるchronic total occlusions(CTO)は治療困難とされてきた。Crosser System(CS)は20万回/分の低振幅機械振動により冠動脈器質化病変を開通させる技術で,昨今は海外で末梢動脈CTO病変に対する応用が始まっている。2014年5~6月に下肢動脈CTO病変(全5例)に対してCSを使用したので報告する。【対象】男性4人,女性1人,平均年齢64.6歳。TASC分類,A 1例,B 3例,C 1例。4例で浅大腿動脈にCTO病変(平均閉塞長55.8mm)を認めた。【結果】4例で合併症なくCS使用でガイドワイヤーの遠位キャップを真腔に挿入する事が出来た。残り1例は透析患者で近位キャップの高度石灰化病変に対して12分間のCS駆動で血管穿孔を認めたため中止とした。閉塞病変の完全通過に要したCS作動時間は開通例で平均7分1秒であった。CSによる閉塞解除ができた4例では開通後のバルーン拡張で良好な血管拡張が得られた。開通症例における残存狭窄率は,3例で25%,1例で50%,治療後には下肢虚血症状の改善を認めた。【結語】下肢動脈の石灰化を伴うlong-lesion閉塞病変では真腔にガイドワイヤーを通過させることが容易ではない。内膜下ナビゲーションでは病変の中枢と末梢に十分な長さの健常部位を確保してre-entryを作成するが,CSでは動脈壁プラーク内を破砕することで遠位キャップの真腔内到達が可能な為デバイス挿入が容易な内腔確保が得られ,当院の症例ではバルーン拡張においても伸展性は良好であった。今後,CSは下肢動脈CTO病変に対する有効な治療デバイスとして期待される。