第55回日本脈管学会総会

講演情報

一般演題(口述)

PAD2

2014年10月31日(金) 13:00 〜 13:56 第4会場 (203会議室)

座長: 渋谷卓(関西医科大学附属 枚方病院 血管外科(末梢血管治療科)), 杉本貴樹(兵庫県立淡路医療センター 心臓血管外科)

13:00 〜 13:56

[O-27-1] 本邦におけるPADの心血管イベント発現の中間解析―SEASONコホート研究の1年間追跡データより―

宮田哲郎1, 東幸仁2, 重松宏1, 折笠秀樹3, 藤田正俊4, 松尾汎5, 成冨博章6, 松田博明7, 中島政英7 (1.国際医療福祉大学・山王メディカルセンター, 2.広島大学原爆放射線医科学研究所ゲノム障害医学研究センター, 3.富山大学医学部バイオ統計学・臨床疫学部門, 4.社会福祉法人宇治病院, 5.松尾クリニック, 6.千里中央病院, 7.田辺三菱製薬株式会社・信頼性保証本部)

キーワード:PAD, SEASON

【背景・目的】抗血小板薬にて治療中のPAD患者における脳・心・末梢血管イベントの発現に関する報告は本邦では少ない。今回,ASOコホート研究SEASON【UMIN000003385】の1年間追跡データを用い,日本人PAD患者の脳・心・末梢血管イベントの発現を分析した。【対象・方法】本研究のエンドポイントは脳・心・末梢血管の複合イベントである。SEASONの登録患者11375例より,2013年9月末時点で1年目の追跡データが固定された9438例を解析対象とした。この内,1年未満の追跡中止は2747例であった。主治医より報告されたイベントは,医学専門家によりSEASONイベントに該当するかどうか個々に判定された。またABI値を有する5966例はABI 0.90以下(異常群 4049例),ABI0.91~0.99(境界群 1713例),1.00以上(正常群 1204例)の3群に分けて分析した。【結果】SEASONイベントは237件報告され,複合イベント発現率(割合%)は2.6%(95% C.I.; 2.3-3.0)であった[脳血管イベント0.8%(0.6-1.0),心血管イベント1.1%(0.9-1.3),末梢血管イベント 0.9%(0.8-1.2)]。ABI値別の複合イベントの発現率は,異常群4.2%(3.6-4.8),境界群2.2%(1.3-3.6),正常群1.7%(1.1-2.7)であった。【結語】本邦のPAD患者における1年目の複合イベント発現率は2.6%であった。またその発現は,ABIの重症度とともに増加する傾向が認められた。今後,2年間の追跡データを集積し,解析する予定である。