第55回日本脈管学会総会

講演情報

一般演題(口述)

PAD2

2014年10月31日(金) 13:00 〜 13:56 第4会場 (203会議室)

座長: 渋谷卓(関西医科大学附属 枚方病院 血管外科(末梢血管治療科)), 杉本貴樹(兵庫県立淡路医療センター 心臓血管外科)

13:00 〜 13:56

[O-27-4] 重症虚血肢に対する集学的治療の必要性

菰田拓之 (大雄会第一病院 創傷ケア・血管センター)

キーワード:CLI, team approach

【目的】重症下肢虚血(CLI)例に対する救肢の目的は創傷の治癒と歩行機能温存である。その両立には心血管,微小循環,運動生理など多方面の観点からのアプローチが必要となる。当院におけるCLIに対する集学的診療について考察を加えて発表する。【方法】診療は自らも血行再建を行う形成外科医がゲートキーパーとなり血管外科や放射線科,他職種と連携して行う。もともと歩かない患者群がCLIとなることが多いことを踏まえ,血行再建法は全身状態,歩行機能,創の大きさ,感染,虚血の程度により血管内治療(EVT)とバイパス術を使い分ける。再建後早期より仮の免荷装具を着用し,感染管理を行いつつ歩行リハを開始する。広範囲デブリ例では感染沈静後に陰圧閉鎖療法を併用するが,最終足形態を予測してシステムを装着し早期に本装具の型取りを行う。本装具が完成するまでの期間に通院でも創治癒が可能な状態とし,速やかな外来診療への誘導を留意する。植皮術や更なる血行再建が必要な症例は退院し歩行機能が安定した後に二期的に行う。【考察】CLIは再発ありきの疾患であり血行再建で治療が完遂することはない。歩行機能温存を優先した治療法を選択することが重要で,症例によっては血行再建後翌日に離床が可能なEVTを選択する場合もある。早期離床は血行再建後の局所循環を早期に安定させ,また自律神経により皮膚筋肉への血流量も増加するため,すみやかに創の治癒にも繋がりやすい。たとえ創治癒不全が残存しても歩行安定後であればバイパス術における術後安静期間も許容できる。疾患の病態を理解し,多職種の観点から複合的にアプローチを早期から行う事がCLI診療において有効と考える。