第55回日本脈管学会総会

講演情報

一般演題(口述)

PAD2

2014年10月31日(金) 13:00 〜 13:56 第4会場 (203会議室)

座長: 渋谷卓(関西医科大学附属 枚方病院 血管外科(末梢血管治療科)), 杉本貴樹(兵庫県立淡路医療センター 心臓血管外科)

13:00 〜 13:56

[O-27-7] Fogarty catheterによる外科的血栓除去術と血管内治療の併用

松下昌裕, 森前博文, 高橋範子 (一宮市立市民病院 血管外科)

キーワード:Surgical thrombectomy, Endovascular surgery

【目的】Fogarty catheterによる外科的血栓除去術は急性動脈閉塞症の治療に用いられてきた。この治療を慢性閉塞性病変に急性血栓塞栓症が合併した症例や,血栓症が慢性化した症例に応用し,血栓除去術とステント挿入を組み合わせて治療してきたのでその成績を報告する。【方法】13例16肢に大動脈腸骨動脈領域のステント挿入術前にFogarty catheterによる血栓除去を試みた。全身麻酔3例,局所麻酔10例で大腿動脈を露出して行った。発症後1日以内の急性例が5例(両側3例),発症後2日以上1カ月以内の亜急性例が4例,発症後1カ月以降の慢性例が4例である。亜急性1例,慢性2例は両側病変があったが片側のみにFogarty catheterによる血栓除去を行った。急性2例,亜急性1例,慢性2例が心原性塞栓であり,そのほかは血栓症と診断された。【成績】初期の急性例1肢はFogarty catheterが通過しなかった(そのまま血管内治療に移行した)が,そのほかの15肢は血栓除去手技が成功した。血栓除去成功15例の閉塞部位は,大動脈(Ao)+総腸骨動脈(CI)+外腸骨動脈(EI)4例,Ao+CI 1例,CI+EI 5例,CI 2例,EI 1例,EI+大腿動脈(F)2例であった。このうち血栓除去された部位はAo+CI 1例,CI+EI 3例,EI+F 1例,EI 2例,F 1例であり,残存した狭窄部にballoon拡張とステント挿入術を追加した。片側のみに血栓除去を行った例のうち2例は大動脈閉塞例であり,片側血栓除去後に反対側のguide wire通過が可能となった。術後に遠位動脈への塞栓症はみられなかった。【結論】ステント挿入術前にFogarty catheterによる血栓除去を行うことで,閉塞病変の血栓量を減らし,閉塞を狭窄にして,挿入するステントの長さを短くできる。