第55回日本脈管学会総会

講演情報

一般演題(口述)

PAD4

2014年10月31日(金) 14:52 〜 15:40 第4会場 (203会議室)

座長: 三井信介(社会医療法人 製鉄記念八幡病院 血管病センター), 出口順夫(埼玉医科大学総合医療センター 血管外科)

14:52 〜 15:40

[O-29-2] 糖尿病コントロールから検討した重症下肢虚血症例の経過

村上雅憲, 森景則保, 田中裕也, 佐村誠, 上田晃志郎, 原田剛佑, 山下修, 末廣晃太郎, 濱野公一 (山口大学大学院 器官病態外科学 血管外科)

キーワード:Clitical Limb Ischemia, diabetes mellitus

重症下肢虚血を発症した患者の予後を糖尿病コントロールの点から検討した。【対象と方法】対象は2009年1月から2014年5月の間に発症し当科で治療を行ったRutheford分類3度の重症下肢虚血症例38例(追跡率94.7%,平均観察期間40.7ヶ月)。平均年齢は73.9±11.4才,男性27例,女性11例であった。Rutheford分類5群が30例,6群が8例であった。これらを糖尿病の合併がない非糖尿病群(なし群:14例),HgA1cが7.0%未満のコントロール良好群(良好群:9例)とHgA1cが7.0%以上のコントロール不良群(不良群:15例)に分け,下肢イベント発生率(対側肢に対する血行再建,切断,患肢の追加切断),予後について検討した。手術は可能な限り血行再建を行い,切断部分は経皮的酸素分圧や皮膚組織潅流圧を参考に決定した。【結果】観察期間中下肢イベントの発生を9例に11回認めた(なし群1例,良好群2例,不良群6例)。その内訳は対側肢に対する血行再建が3例(良好群1例,不良群2例),対側肢に対する切断(大切断3例,小切断1例)が4例(なし群1例,良好群1例,不良群2例),患肢の追加切断(大切断1例,小切断1例)が2例(不良群2例)であった。不良群の2例に複数回の下肢イベントを認めた。在院死を3例認めた(なし群1例,不良群2例)。死因は壊疽病変からの感染に起因する敗血症が1例(なし群1例),心血管関連が1例(不良群1例),他病死が1例であった。遠隔期に9例を失った(なし群1例,良好群2例,不良群6例)。死因は壊疽病変からの感染に起因する敗血症が1例(不良群1例),心血管関連が1例(不良群1例),他病死が7例であった。【考察】重症下肢虚血患者の予後は不良であるが,糖尿病コントロールが不良な症例においては顕著であった。