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[O-29-4] 腸骨動脈病変ステント治療における15年開存率の検討
キーワード:peripheral arterial disease, iliac artery
【目的】閉塞性動脈硬化症(PAD)の腸骨動脈病変に対するステント治療成績は良好であるが,遠隔期には少数であるが再狭窄を起こす症例がある。今回我々は,腸骨動脈に対するステント治療の15年成績と再狭窄の原因について検討した。【方法】PADの腸骨動脈病変に対してステント留置術を施行した450例462病変について長期開存率を比較するとともに遠隔期の再狭窄原因を検討した。TASC-II分類別ではA型:223例,B型:122例,C型:46例,D型:71病変であった。【結果と考察】平均年齢は71.4±8.5歳,観察期間の中央値は9年7カ月であった。初期成功率は,A型:99.5%,B型:96.6%,C型:97.6%,D型:84.3%とD型が低かった。開存率は,A型が5年:90%,10年:86%,15年:78%,B型が5年:82%,10年:74%,15年:74%,C型が5年:89%,10年:89%,15年:データなし,D型が5年:89%,10年:89%,15年:89%であった。TASC-II分類別4群間に統計学的な有意差はなかったが,B型病変の開存率が術後4年前後で低下し遠隔期も低い傾向にあった。Cox単変量解析による再狭窄因子の検討では,術後残存狭窄率,術後血管径と年齢が再狭窄と有意に関連していた。ステント再狭窄の原因はステント内の内膜増殖とともにステント内血栓残存,再狭窄症例,抗血小板剤の自己中断,ステント内の内膜剥離,ステント自体の離断等が特徴であった。【結語】腸骨動脈病変に対するステント留置術の15年開存率は良好で,TASC-II分類別の4群間に有意差はなかったが,B型病変の開存率が種々の特殊な原因から術後4年前後で低下し遠隔期も低い傾向にあった。