第55回日本脈管学会総会

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一般演題(口述)

大動脈瘤

Fri. Oct 31, 2014 9:00 AM - 9:56 AM 第5会場 (201会議室)

座長: 宮本裕治(兵庫医科大学 心臓血管外科), 田村健太郎(社会医療法人社団十全会 心臓病センター榊原病院 心臓血管外科)

9:00 AM - 9:56 AM

[O-30-1] 大動脈基部置換術:自己心膜フェルトによる中枢吻合部出血予防と冠動脈再建方法の工夫

鈴木伸一, 益田宗孝, 磯松尚幸, 郷田素彦, 町田大輔, 合田真海, 伏見謙一 (横浜市立大学附属病院 外科治療学 心臓血管外科)

Keywords:root replacement, autologous pericardium strip

【目的】大動脈基部置換術では中枢吻合部出血予防と適切な冠動脈再建が重要。当院ではConduit中枢吻合部に自己心膜を全周性に巻き,中枢吻合後は残したバルサルバ組織と縫合して補強し,出血予防としている。また冠動脈再建はボタン法を基本とし,症例によりPiehler法や静脈グラフトのバイパス術を選択。治療成績をまとめ,検討した。【方法】過去5年に施行した基部置換術は12例(男12例,女2例),年齢は7~78(平均43.2±29.6)才。原疾患は大動脈弁輪拡張症(AAE)+大動脈弁閉鎖不全症(AR)8例,急性大動脈解離(AAD)2例,上行大動脈瘤+AR1例,AAE+人工弁感染1例。Marfan症候群2例,Loeys-Dietz症候群とSprintzen-Goldberg症候群が各1例。基部置換の大動脈弁は自己弁温存1例,生体弁3例,機械弁8例で,バルサルバグラフトを2例に使用。【成績】1)病院死亡1例;AADの1例が術前心肺停止で,術後脳合併症で死亡。2)中枢吻合:自己心膜による中枢吻合部補強を6例に施行し,バルサルバ組織との連続縫合は全例に施行した。術後出血で再開胸手術はなし。3)冠動脈再建;ボタン法ではフェルトまたは自己心膜で補強。AAD2例と再手術1例のRCAはSVGでバイパス。再手術2例の3吻合でPiehler法を施行。左冠動脈のPiehler法再建の人工血管中枢吻合は,Couduit人工血管の左前方の吻合し,同部の止血法操作を容易とし,またPieher人工血管屈曲による狭窄発生を予防。4)術後3~59(平均37.5±20.1)か月で遠隔死亡なし。Loeys-Dietz症候群の1例で術後1年に冠動脈吻合部仮性瘤が発生し再手術施行。【結論】当院の基部置換成績はおおむね良好であるが,Syndromic aneurysm症例では注意深い経過観察が必要。