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[O-30-4] 腹部大動脈瘤開腹術の短期予後予測における術前6分間歩行距離の有用性の検討
キーワード:abdominal aortic aneurysm, six-minutes walk distance
【目的】腹部大動脈瘤(AAA)の開腹術後予後予測に,術前の心肺運動負荷試験(CPX)が有用であるとした報告がある。今回,CPXより簡便な6分間歩行距離(6MWD)が術後短期予後の予測因子となり得るかを検討した。【方法】2004年4月から2014年3月までに当院で腹部大動脈瘤の開腹術を施行され,術後リハビリテーションを実施した108例のうち,術前6MWDを測定した85例を対象とした(75.0歳,男性72例)。対象者の基本情報,ASA分類,Performance Status,手術時間,出血量,6MWD,術後歩行開始日数,合併症発生率,術後在院日数を調査し,E-PASSの術前リスクスコア(PRS),手術侵襲スコア(SSS),総合リスクスコア(CRS)を算出した。従属変数を歩行開始日数,合併症発生率,在院日数とし,単変量解析で有意であった因子を独立変数とし多変量解析を行った。【結果】歩行開始日数は平均2.0日,合併症発生率は10/85例(11.8%),在院日数は17.3日であった。重回帰分析の結果,歩行開始日数は6MWD(β=-0.224,p=0.028)とCRS(β=-0.224,p<0.001)(R2=0.23),在院日数は6MWD(β=-0.229,p=0.022)(R2=0.062)が有意な予測因子であった。また,多重ロジスティック解析の結果,合併症発生率はSSS(B=3.446,p=0.001,オッズ比31.37)(判別的中率88.1%)が有意であった。【結語】術前6MWDは歩行開始日数や術後在院日数などの術後経過の予測因子であるが,合併症発生率の予測因子ではなかった。耀