第55回日本脈管学会総会

講演情報

一般演題(口述)

脳血管

2014年10月31日(金) 09:56 〜 10:28 第5会場 (201会議室)

座長: 中原一郎(小倉記念病院 脳卒中センター 脳神経外科)

09:56 〜 10:28

[O-31-2] 当科におけるCEAの遠隔成績とその検討

須原正光, 木村賢, 牧野能久, 根元洋光, 白須拓郎, 芳賀真, 望月康晃, 松倉満, 赤井隆文, 谷口良輔, 西山綾子, 橋本拓弥, 宮原拓也, 保科克行, 重松邦広 (東京大学 血管外科)

キーワード:Carotid Endarterectomy, long term prognosis

【はじめに】Carotid Endarterectomy(CEA)は,内頸動脈狭窄性病変に対する脳梗塞予防目的の手術としてその地位を確立しているが,本邦における長期成績は報告が少ない。当科でのCEAの遠隔成績を検討した。【対象・方法】当科において1998年8月~2014年5月に行われたCEA 75例81件を後ろ向きに検討した。【結果】男性65例71件・女性10例10件,手術時平均年齢は68.6±7.8歳,平均フォローアップ期間は75.0±47.4ヶ月であった。このうち60ヶ月以上フォローしているものが42例46件,120ヶ月以上が12例15件あった。周術期合併症は急性期同側脳梗塞1件(1.2%)・術後出血による再手術が2件(2.5%)であり,手術死亡はなかった。遠隔期の脳梗塞は7件(8.6%)・TIAが2件(2.5%)に認められた。脳梗塞のうち1件は心原性塞栓であった。脳梗塞病変は同側5件,対側1件,側性不明の脳幹梗塞1件であった。遠隔期脳血管障害発症までの平均期間は52.0±31.6ヶ月であった。主に頸動脈エコーによるCEA部のフォローアップは平均59.3±50.3ヶ月間行われ,閉塞が1件(1.2%)のみで他に有意狭窄をきたした症例はなかった。Kaplan-Meier法による同側脳梗塞の累積発症率は4年で2.6%・8年で12.8%,全脳梗塞では4年で5.7%・8年で15.9%であった。同様にstroke-free survivalは4年で86.8%・8年で71.2%,overall survivalは4年で92.3%・8年で80.1%であった。【結語】当科におけるCEAは,開存率98.8%・周術期脳梗塞発症率1.2%と良好であった。遠隔期の脳梗塞の発症率や生存率も海外の大規模スタディや本邦の過去の報告と比べて遜色のない結果であった。CEAは日本人においても長期的な脳梗塞予防効果があると考えられた。