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[O-32-1] 胸部ステントグラフト内挿術施行後吐血の伴わない大動脈食道瘻を発症した2症例
キーワード:aor, tev
胸部大動脈ステントグラフト内挿術後の重篤な合併症の一つとして大動脈食道瘻・気管支瘻が挙げられるが,胸部大動脈瘤に対しステントグラフト内挿術施行後に吐血の伴わない大動脈食道瘻を発症し治癒した2症例を経験したため報告する。1症例目は78歳男性。弓部下行大動脈瘤に対し二期的ステントグラフト内挿術を施行した。術後11か月後に喀血を認め,大動脈気管支瘻を疑い経カテーテル的塞栓術を施行したもののtypeIIエンドリークが残存したためCTガイド下経大動脈的塞栓術施行。症状改善し退院となるも再度喀血が増悪したため緊急入院となった。入院後呼吸状態悪化し挿管管理となったため,緊急にて下行大動脈人工血管置換術を施行した。術中所見にて大動脈食道瘻の併発も疑われたため,術後上部消化管内視鏡施行し食道瘻と診断,第13因子製剤を投与したところ瘻孔は閉鎖し術後4ヶ月の現在まで再発は認めていない。2症例目は77歳女性。感染性の疑われた胸部下行大動脈瘤切迫破裂に対し緊急胸部ステントグラフト内挿術を施行した。術後経抗生剤投与にて炎症反応の陰転化,大動脈瘤の瘤径縮小を認め退院し,外来にて経過観察となっていた。術後4か月目に突然の発熱と炎症反応の高値を認め,CTにてグラフト周囲の感染および大動脈食道瘻を疑われ,緊急手術となった。術中所見にて1X2cm大の食道瘻を認めたため下行置換術(リファンピシン浸漬グラフト使用)および食道抜去術を同時に施行し食道は二期的に再建した。術後3ヶ月の現在まで再発は認めていない。