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[O-33-1] 近年の日本における高安動脈炎の疾患構造―臨床調査個人票の解析
キーワード:Takayasu's arteritis, epidemiology
【目的】近年の日本における高安動脈炎の疾患構造を解析する。【方法】厚生労働省科学研究補助金難治性疾患克服研究事業:難治性血管炎に関する調査研究の一環として,2001年4月から10年間に提出された臨床調査個人票を分析した。男女比,発病年齢などについて,新規登録者と非新規登録者,同じ調査票を用いた1998年度の調査結果とを比較した。【結果】7779例から個人票が提出され,うち新規登録者は1373例であった。新規患者は男性16.2%,女性83.8%で,男性の比率は非新規患者(9.0%)より高く(p<0.001),また前回調査(男性12.6%)より高かった(p = 0.02)。新規患者で発病年齢が記入されていたもののうち,40歳以下の患者は57.0%,40歳以下の女性は49.6%であった。新規患者の発病年齢は中央値35(四分位点 22-57)歳で,非新規患者の30(22-44)より高かった(p<0.001)。発病年齢は新規患者では,女性では15-29歳にピークを認めるも,30歳代から60歳代までは横ばいの人数の発病者があり,40歳より高齢での発病者が40.8%を占めた。男性では若齢から高齢まで発病がみられピークがなく,発病年齢の中央値は女性より高かった(44歳 vs 33歳,p = 0.001)。非新規患者では男女とも20-24歳にピークがみられたが,男性でのピークは低くなだらかであった。これは,前回調査で女性では16-20歳をピークに漸減し,男性にはピークが無かったのと似ていた。家族歴を有するものは41例(3.0%)認められ,過去の報告(1.7%)より多かった(p = 0.048)。【結論】日本では,高安動脈炎患者を発病する性・年齢分布が変化していることが示唆された。