第55回日本脈管学会総会

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一般演題(口述)

その他2

Fri. Oct 31, 2014 1:40 PM - 2:28 PM 第5会場 (201会議室)

座長: 村上厚文(国際医療福祉大学病院 血管外科), 西部俊哉(東京医科大学病院 心臓血管外科)

1:40 PM - 2:28 PM

[O-34-2] ヒラメ静脈拡張と下肢静脈弁不全との関係について

齋藤奈津美1, 増山里枝子2, 川良徳弘1, 井上芳徳3, 近藤光一4 (1.文京学院大学大学院 保健医療科学研究科, 2.文京学院大学 保健医療技術学部, 3.東京医科歯科大学 血管外科, 4.両国あしのクリニック)

Keywords:soleal vein, varicose vein

【目的】深部静脈血栓のほとんどは下肢静脈に生じ,ヒラメ静脈はその好発部位とされている。近年,血管エコー検査普及に伴い下肢静脈瘤患者のヒラメ静脈の拡張が観察されるが,この原因は明らかでない。本研究は,膝窩静脈の弁不全と表在静脈径に着目し,ヒラメ静脈拡張の成因を推定することを目的とした。【方法】両国あしのクリニックを受診した下肢静脈瘤患者CEAP分類C2(触知可能な径3mm以上の静脈瘤)以上を対象とし,25名(男性5名,女性20名,63±11歳)50肢を横断的に検討した。超音波診断装置,7.5MHzのリニア型探触子を用い,立位にて両側のヒラメ静脈最大径と下腿の静脈径を測定し,弁不全の有無を判定した。解析はFisherの正確検定,t‐検定,ロジスティック回帰分析を用いた。【成績】拡張のカットオフ値を10.0mmに設けると,下肢静脈瘤患者の13肢でヒラメ静脈拡張が見られた(拡張肢ヒラメ静脈径11.1±1.0mm,非拡張肢ヒラメ静脈径7.5±1.2mm)。ヒラメ静脈拡張は膝窩静脈弁不全肢(膝窩静脈逆流シグナル0.5秒以上)に多くみられた(8/13対5/37,p=0.002)。大伏在静脈径はヒラメ静脈拡張肢で有意に大きく(6.3±2.2mm対4.9±2.0mm,p=0.041),小伏在静脈径はヒラメ静脈拡張肢で大きい傾向(3.7±2.5mm対2.6±1.2mm,p=0.053)を示した。大伏在静脈径(p=0.055)と小伏在静脈径(p=0.068)はヒラメ静脈拡張の説明因子である可能性を示した。【結論】下肢静脈瘤患者のヒラメ静脈拡張は膝窩静脈の弁不全および表在静脈径と関連しうることが示された。下肢深部静脈拡張・弁不全と下肢表在静脈拡張が共通の発生因子を持つ,あるいは互いを助長することが示唆された。