第55回日本脈管学会総会

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一般演題(口述)

その他2

Fri. Oct 31, 2014 1:40 PM - 2:28 PM 第5会場 (201会議室)

座長: 村上厚文(国際医療福祉大学病院 血管外科), 西部俊哉(東京医科大学病院 心臓血管外科)

1:40 PM - 2:28 PM

[O-34-3] 上腕動脈表在化法の有用性の検討

鈴木啓一郎1, 菅野範英1, 小野真吾1, 上平大輔1, 村形綾乃1, 米倉孝治1, 田波秀朗1, 丸山祥司1, 佐藤栄吾1, 若井幸子2 (1.公益財団法人 東京都保健医療公社 大久保病院 外科, 2.財団法人 東京都保健医療公社 大久保病院 腎臓内科)

Keywords:Vascular access, superficialization of artery

【目的】内シャント造設不能症例や心機能低下症例では動脈表在化や永久留置型カテーテルが血管アクセス(VA)として選択される。動脈表在化症例の長期成績の系統的な検討は少ないため,今回報告する。【方法】2011年4月から2014年3月末までの間に,当院で経験した上腕動脈表在化手術25症例31肢を対象とした。また日本透析医学会「慢性血液透析用バスキュラーアクセスの作成および修復に関するガイドライン」に基づき,心機能低下例,自家静脈・人工血管による血管アクセス作成不能例を,表在化手術の適応とした【結果】対象の手術時年齢は54歳から90歳(中央値75歳)で,男性15例,女性10例であった。適応理由として,繰り返すシャントトラブルが11例,心不全および心機能低下症例14例であった。術後の合併症は術後合併症は止血困難4例,穿刺困難1例であった。閉塞を認めたのは31肢中3肢である。経過観察中(中央観察値:10ヶ月)14例が死亡し,うち9症例は死亡時まで作成した表在化動脈VAとして使用が可能であった。本研究では上腕動脈表在化手術より1年生存率はおよそ50%であった。【結論】上腕動脈表在化はVAとして有用であるが,止血トラブルや返血ルートの確保が困難となり使用継続出来ない症例があることから,適応を厳密にすべきである。