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[O-6-1] 腹部大動脈瘤ステントグラフト内挿術後の炎症に対するステロイドの有用性に関する検討
Keywords:Post-implantation syndrome, Steroid
【目的】腹部大動脈瘤に対するステントグラフト内挿術(EVAR)後には,頻繁に高熱や炎症反応の上昇を認める。ステロイドは強力な抗炎症作用を有し,我々はEVAR術後の炎症に対するステロイドの有用性を検討した。【方法】2012年6月より2014年3月まで当院で腹部大動脈瘤に対して待期的に施行したEVAR40例を対象とした。メチルプレドニゾロン1000mgを麻酔導入時に投与したS群と,投与しなかったC群に分けて,患者背景(年齢,性別,瘤径,手術時間,付加処置)と経過(入院時,手術当日,第1~7病日の白血球数,CRP,体温)を比較検討した。【結果】平均年齢(S群78.9±6.5歳,C群77.2±6.1歳),手術時間(S群121.5±35.9分,C群121.3±27.9分),瘤径(S群51.6±9.0mm,C群48.8±10.7mm)で有意な差は認めなかった。全例で術後感染症は認めなかった。白血球数はいずれの時期でも有意な差は認めなかったが,CRPは第1病日でS群1.0±0.8,C群2.4±1.8(P=0.003),第3病日でS群1.7±1.6,C群10.3±5.3(P<0.001)で有意にS群が低値であった。体温も第1病日でS群36.7±0.4℃,C群37.7±0.6℃(P<0.001),第2病日でS群36.9±0.4℃,C群37.9±0.6℃(P<0.001),第3病日でS群37.1±0.7℃,C群37.6±0.6℃(P=0.024)と有意にS群が低くかった。【結論】ステントグラフト内挿術でのステロイドの使用は術後感染症を危惧すること無く術後の早期炎症を抑えることに有用であると考えられた。